内容説明
通説の古代史に異を唱える人気歴史作家が、古くから日本人の心の拠り所となってきた聖徳太子信仰の謎に迫る。
・聖徳太子信仰を広めたのは親鸞
・多すぎる名前をもつ聖徳太子
・聖徳太子の疑わしい業績
・梅原猛の「聖徳太子」論はどこまで信用できるのか?
など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
18
★★★☆聖徳太子は、いろいろと云われている。最近では、あの紙幣の肖像自体も本人ではないとか、一つ間違えば実在しなかったんではないかとまで言われている。それではどんな人物だろうか。そんな疑問が、氷解するそんな作品になっている。歴史は連綿と繋がっている。そのなかには、時の権力者が歴史を捻じ曲げたり、そもそも表の顔と裏の顔があるのは当たり前で、それを知る事は愉しいものである。2019/07/06
櫛部晃季
5
日本の聖徳太子信仰は親鸞によって広められたとし、聖徳太子信仰を様々な仮説を基に紐解いていく。厩戸皇子は実在として、太子は蘇我氏鎮魂の意味を持たせて天智天皇から藤原氏が創り出し、鑑真によって利用されたとする見解は面白くはある。日本書紀をベースラインにして、法隆寺の縁起や磯長廟の不明瞭な点にも触れている。主論は兎も角として、飛鳥、奈良、平安と、古代日本の政治、宗教闘争等の細かい流れが見る事が出来たのは良かった。ただ、呪いや祟りを恐れて、太子が蘇我氏の象徴として創られたのだとしたら古代の英雄が一人減ってしまう。2012/08/25
カズザク
1
歴史は勝者が書き残す物。敗者側の真実はねじ曲げられ、時には抹殺される。今、授業で習う歴史の多くは、真実と作り物が混在し、今となっては真実・真相はわからない。でも歴史って、そんな物だと思う。限られた情報の中で、それぞれが好きに想像・空想し、自分なりの歴史観を作り出せばいいと思う。歴史の勝者が、自分達の罪滅ぼし、罪を隠すために作り出した聖徳太子像。それが今では、作り出した人達よりも偉大になり、歴史上の超有名人物に。歴史の皮肉であり、面白さだと思う。言い伝えに真実の歴史あり。歴史は勝者が…の裏返しで面白い。2019/12/30
けん
0
聖徳太子は非常に好きな歴史上の人物の1人だったので、この本の説が本当だとすればかなりショックである。2019/04/29