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内容説明
自分を知るには、足下の地域を知らねばならない。本書は「私」を知る学問としての地域学を提唱し、その実践として、近代化で見えなくなった地域の実像を、生態、社会、文化、歴史の側面からとらえ直す。津軽というミクロの視点から、生命の場としての地域を内包する国家というシステム全体の視点まで、さまざまな視座を往還しつつ、国家や都市の論理と対抗する生命の場としての地域を浮かび上がらせる。限界集落や地方消滅問題に挑んできた気鋭の社会学者による地域学のすすめ。
目次
序章
地域学への社会学からの三つの視角
地域を知ることと自分を知ること
つながっている世界を切り取ることから地域は現れる
特定の時空・環境に、生きている自分をつなぎとめること
大きな変化のうちにある地域と私という自覚
国家と地域の深い関係
近代化の中の地域──五十年前の姿を割り出す
Ⅰ 生命の章
1 地域が生まれる条件
生命を育む場としての地域
どこかからおとずれ、定着することから地域は生まれる──縄文時代
定着の条件──土地、水、エネルギー
小さな国としての地域の始まり──弥生時代
2 地域の原型としての江戸時代
江戸時代までに多くの地域はつくられた
地域間の格差の形成と分業化
3 生命の営みから村々を見る
折笠村の場合〈事例1〉
田茂木村の場合〈事例2〉
村のなりわい
4 町と都市を考える
生命の営みとして
城下町の土地と水──弘前城〈事例3〉
交通──食糧とエネルギーの運搬
5 地域をつなぐ道
道という生命維持装置
地域の結節点としての都市
道はさらに都につながる
都市の移動、城館の盛衰
山陽道の変遷〈事例4〉
道沿いの町の生成と記憶
6 生命の場としての地域
分業の中の多様な地域
様々な生業
生命の営みと社会・文化
Ⅱ 社会の章
1 人口集団としての地域──自然と社会
人は社会の中に生まれる
人口の量と構成を決定するもの──自然増減と社会増減
地域の人口学
2 社会の発展と地域の歴史
国が地域をつくる
国々の発生と国家統一──弥生時代の開発と戦争
ローカルな力が地域をつくる──勢力の統一化と分散化
三つの伝統的社会集団──いえ、むら、くに
家・村・国の変化としての歴史──弘前藩の場合〈事例5〉
3 家と村
生活共同集団としての家
結婚、出生、継承
家々が集まって村をつくる、町をつくる
砂子瀬村の場合〈事例6〉
山村の暮らしと家々の共同
村の集団
4 町と町内社会
町と家
上土手町の場合〈事例7〉
学校、道路、神社、アーケード
町内社会の形成とその意味
会社という家──〈家連合=村〉としての都市
5 都市と国家
都市について──みやこ、いち、まち
城下町と町々、村々
江戸・京・大坂という広域機能都市
6 近代国家と地方自治体
近代国家がつくる新たな地域
西欧からの近代化の導入
社会が一つになっていく
地方自治体の形成とその変遷
小さな国家──地域としての自治体
この国の本質はどこに
Ⅲ 歴史と文化の章
1 文化というもの
文化集団としての地域
地域と国家の力がせめぎあう構造
2 歴史と文化から村や都市を考える
大川原村の場合〈事例8〉──火流しの由来
マタギの村──山村の信仰
城下町・弘前の文化的構成〈事例9〉
都市の祭り──ねぷた〈事例10〉
都発のものと地域発のもの
方言と気質──地域に共有される物語
文化を構成する信仰と歴史
3 祈りの場
過去と未来を現在につなぐ祈り
神社のこと
地域のくらし──祈りの場と神
広域の中の神様──岩木山の場合〈事例11〉
地域の中の信仰の形を読み解く
人が神になる
氏子組織と祭祀
お寺のこと
死後の世界と祖先崇拝
人と土地をつなぐ信仰──国家と地域の強い絆
日本の神、西洋の神
4 歴史をたどる
先祖にたどる地域とのつながり
地域は歴史の中にある──文献・遺跡・遺物・神社など
地域に残る主観的資料
七戸・十和田周辺〈事例12〉
馬産、奥州街道、つぼのいしぶみ、二ツ森貝塚
過去と未来、国家とのつながりに地域を見る
文化の中に生きる──その変化の大きさを考える
5 地域を伝えていく機構
学校の機能
公民館と地域
博物館と文化行政
変化の起点はどこか
Ⅳ 変容の章
1 大変容の中の私たち
近代化を地域学の対象にする
産業化と軍事化──明治維新から太平洋戦争まで
戦後もつづく挙国一致体制
日本の人口転換と人口減少問題
生まれない社会をつくり出したもの
私たちはどこに行くのか──新しい事態
2 生命を成り立たせるものの変化
水と土地利用の変化
移動と交通の変化──小さな環境から大きな環境へ
エネルギー供給と物質循環のグローバル化
3 二十一世紀にたどりついたもの
ハイブリッドな社会と環境
人間の変容と郊外──国家と個人しかない認識へ
学校とマスメディア
地方紙について
個人と地域と国家
コスモポリタニズムと国家ナショナリズム
国家ナショナリズムから地域ナショナリズムへ
地域の殻が破られる
4 抵抗としての地域学
西欧近代化との出会いとどう決着をつけるのか
手元に問題解決する手段を確保しておくこと
地域学からはじめよう
あとがき
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
1.3manen
寝落ち6段
tsubomi
kayaki
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