内容説明
イルカと話したい。しかし、著者には大きな弱点があった。大小かまわず船がダメ、泡を吹き、気絶したことも。これでは大海のイルカは追えない。ならば、「陸」のイルカの知能に迫ろう。水族館に通い続ける日々が始まった。ことばを教えるには、音か視覚か? シャチが実験に飽きた? そしてついに、シロイルカが「私」の名を呼んだ!?――孤軍奮闘の三十余年、変わり者扱いされながらたどりついた「夢のはじまり」を一挙公開。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomomi Yazaki
22
イルカを本格的に科学する専門機関は日本にはないそうです。太古からかかわってきたイルカ。研究するにしても経済や文化の発展に直結しないからでしょうが、とても残念なこと。そんなんだから日本の貴重な頭脳は中国や米国に流出してしまうのです。本書は、そんな窮屈な日本の学術界で唯一イルカを学問として確立すべく立ち上がった、一人の研究者の物語です。知能の高いイルカは、実験に協力したり邪魔したり、無視したり、わざと間違えたりと大変です。でも好きだから出来る。その究極の目的は、イルカと話がしたい、だそうです。2021/10/14
さくら咲く
15
三十余年にわたる研究者の奮闘記。イルカと話したい!と言う中々稀少な目標であるこの研究に辿り着くまでの苦労話。面白かったのはシロイルカのナックが実験中に研究者の顔色をうかがう話しや、複数の物と記号を一致させ選ぶことが出来た経緯。当初出来なかった記号を見てから物を選ぶと言う高度な作業を、教えたわけでもないのに10年のブランクがあるにも拘らず簡単に出来た事。また鳴き声でそれらを表す事が出来た経緯など興味深く楽しめた。本当に喋れるの?は読んでからのお楽しみ。これからの研究にも期待大です。2022/01/04
a*u*a*i*n34
12
新書にありがちですが、イルカの知能がどれだけあるのかまでにかなりのページが費やされて萎えますが、それを上回る驚きが有ります。「マネをする」と言う命令がわかると言う知性と現代の情報処理能力があればイルカと会話もできそう。2021/11/19
kuririn
10
結論、通じる。帯のベルーガに惹かれて思わず手にとったが、動物が苦手で船も苦手な著者がイルカの「眼球」を取りにいく話や水族館で怒られるエピソードなど、半分くらいは苦労話。それはそれで面白いが、純粋にイルカの知能や生態を深く知りたい人には少し物足りないだろう。とはいえ、イルカ学(?)の第一人者である著者の本ということもあり興味深い内容も多い。鴨川シーワールドのベルーガ「ナック」との研究と、その驚くべき成果には感動した。紙媒体ではわからないことも多いので、本書の補足になる動画を参考に挙げておく(コメント欄へ)。2022/01/30
フク
8
#読了 船酔いするイルカ研究者による水族館のイルカ研究。 シロイルカ「ナック」との研究の様子は頬が緩む。 図書館。2021/12/08