講談社文庫<br> 地球にちりばめられて

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講談社文庫
地球にちりばめられて

  • 著者名:多和田葉子【著】
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 講談社(2021/09発売)
  • 3月の締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~3/31)
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  • ISBN:9784065238158

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内容説明

「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。

誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

「国はもういい。個人が大事。そこをいともたやすく、悲壮感など皆無のままに書かれたのがこの小説とも言える」
――池澤夏樹氏(文庫解説より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふう

83
この物語の中では、わたしたちの国は地球から消えてしまっているようです。その原因が何なのかは書かれていません。北欧に留学していたHirukoは帰る国を失い、移民として暮らすことになります。彼女が同じ母国語を話す人物を探して、共感した若者たちと旅に出るのですが、若者たちの共感の理由は様々。国境を越えるように人種や性を超え、夫々の探し物を求めて旅をします。若者たちのおおらかさと、ちりばめられて消えるのではなく、そこで輝き出すたくましさがいいですね。Hirukoの考え出した言葉、感覚も新鮮ですてきです。2022/12/18

しいたけ

82
我らが国にとんでもないことが起き、無くなったもよう。島国根性などと揶揄されても本当の意味では飲み込めていないのだが、Hirukoがアイデンティティを探す旅は新鮮な視点に満ちている。言語、文化、国境、性、母子がイマジネーションの世界を泳ぐように提示され、楽しく美しい比喩が私の脳を運動させる。章ごとにそれぞれの登場人物の来し方を知る。その人物が思うことが、別視点の章を通すとまた違った意味合いを見せる。『雪の練習生』でも感じたが、グローバルな作者ゆえ閉塞感がない。なのにしっとりと湿度を感じさせるところが好きだ。2022/12/03

はっせー

75
言語について考えたい人におすすめしたい本になっている!この本の感想は難しい。面白いという言葉1つでは表すことができない深みや味わいに溢れている。地球温暖化が進んだ地球。おそらく日本が消滅している。そんな世の中において北欧に住むhiruko。hirukoは同じ母語を話す人を探している。言語学を勉強するクヌートはhirokoと出会い、旅をすることになる。んー深いし展開も独特。自分の想像のさきに行けそうな本になっている!2024/01/08

さぜん

64
初多和田作品。全米図書賞最終候補作。母国、言語、移民とまさに今注目されるテーマだが、物語の中に落とし込むのは難しい。自分の母語を探すHirukoの旅が物語の核。言語はその国の歴史と文化を表現する。外国語を習得すれば交流が生まれ他国での生活も可能だ。だが、母国語を忘れ失うことは決してない。その人を形成するのは言語だからだ。独特の世界観とつかみどころのない登場人物達にのめりこむことはできなかったが、ここまで母国語について考えさせられたことはなく、新鮮だった。ラストに皆が顔を揃える場面は舞台を観ているかのよう。2023/03/26

かみぶくろ

61
3.1/5.0 言語と国境を自由自在に越えていく旅小説。文章自体は達者さを極めた先の平易さで綴られていて、各エピソードも隅々まで素晴らしいんだけど、内容がむずすぎて底が見えないというか、神作家がまとう崇高さみたいなオーラがあって、敷居が高いというか。すごいとは言えるけど、個人的に面白いとは言えない作品でした。もちろん読み手の問題です。2022/11/26

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