内容説明
確率論において、「偏差のランダムな正負の打ち消し合い」という大数の法則、中でも大数の弱法則、強法則はよく知られた定理であるが、大数の完全法則は強法則の特別な場合についてやや強い結論を導く定理であり、様々な応用における数学的な拠り所となっている。本書は、通常の測度論に基づく確率論、特に実数値の独立確率変数列で書ける範囲を扱い、初等的な確率論の教科書に共通する基礎事項を随所に配置しながら、大数の法則、その中でも特に大数の完全法則を大テーマとしてとりあげていく、解析的な確率論の特徴的な入門書である。
目次
第1章 大数の法則
第2章 実確率変数の不等式と収束のオーソドックスな入門
第3章 独立実確率変数列の大数の完全法則の証明
第4章 セミノルム付き線形空間の少しマニアックな入門
第5章 有界変動関数の空間と一般化したグリヴェンコ・カンテリの定理
第6章 一般化ヒンチンの不等式と線形空間値大数の完全法則