内容説明
21世紀に向けて数理科学の新しい展開をリードする大学数学講座。16は、ヒルベルト空間の構造論、ヒルベルト空間上の線形作用素について論述し、ヒルベルト空間の形式を用いて量子力学の数学的基礎を解説する。
目次
第1章 ヒルベルト空間
第2章 ヒルベルト空間上の線形作用素
第3章 作用素解析とスペクトル定理
第4章 自己共役作用素の解析
第5章 偏微分作用素の本質的自己共役性とスペクトル
第6章 量子力学の数学的原理
第7章 量子調和振動子
第8章 球対称なポテンシャルをもつ量子系と水素原子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
shin_ash
4
量子確率論の本がヒルベルト空間について読んでこいと言うので読んでみた。有限次元だけを相手にしていれば完備とかコンパクトとかスルーしていても影響は少ないが観念して読んでみることにした。自分で説明できる様な理解には程遠いが、なんと無く雰囲気は掴めた気がする。延々と内積空間を拡張していくが主にそれが作用素にも拡張できることを説明する。この作用素の代数に上手く定義できるように物理を構成することが量子力学の様だ。そう言う意味では量子力学は構成論的である様に感じる。例として量子調和振動子が出てくるが、ここまで来てよう2025/01/04
Haruki
2
ヒルベルト空間、線形作用素、スペクトル、自己共役作用素、といった数学的な解析構造から、正準量子化、正準交換関係(CCR)といった量子系の状態、物理量のヒルベルト空間内での閉じた性質を定義づける。CCRの表現はシュレーディンガー表現、行列表現など複数のWeyl型表現が取り得るが、フォン・ノイマンの一意性定理により、いずれでの表現でも同じ結果が得られることが示されている。公理的に積み上げて量子系の演算に必要な道具が揃えられてくるが、具体例は演習問題に回され抽象度が高い。証明は追わず公理系の概要だけ理解した。2023/05/22




