内容説明
高1の奈苗は、いつも笑顔でいるものの、心に孤独を抱えていた。ある時、とある事情でクラスメイト五人だけで三日間、授業を受けることに。一匹狼の大北くん、優等生の怜ちゃん、委員長と呼ばれる落合くん、いじめられっ子の若尾くん。いやで仕方なかったのに、気づけばその時間が大切なものになっていて――。無限に積み重なる空の下、五人のひとりぼっちたちの物語。
目次
1 ひとりぼっちたちの教室
2 ふたつめの発見は長所
3 みっつの名前のない夢
4 四回まわった青空から雨
5 五階の先にある笑顔
6 無数で無限の明日
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツン
104
たったの5日間だけど、5人にとってはかけがえのない5日間。この5日間はとてもよかったけど、そのバックグラウンド、過去の話がちょっと不自然な感じ。それでも十分よかったですけどね。2021/09/04
よっち
28
いつも笑顔でいるものの、心に孤独を抱えていた高1の奈苗。まさかの事態からクラスメイトの五人だけで三日間、授業を受けることになり、いやで仕方なかったその時間がいつの間にか変わってゆく青春小説。一匹狼の大北くん、優等生の怜ちゃん、委員長と呼ばれる落合くん、いじめられっ子の若尾くん。そんな彼らとのやりとりの中で今まで知らなかった意外な一面を知っていって、助け合いながら一緒に苦しいことを乗り越えて、それがきっかけとなっていろいろなことに気づき、これまでと見えるものも変わるようになってゆく、そんな素敵な物語でした。2021/09/08
ひぬ
23
両親の離婚により、田舎の高校へと転校して数ヶ月。クラスの輪に未だ完璧に馴染めず、少し浮いていた奈苗は学年対抗優勝の打ち上げに誘われず、無事停学を免れますが、同じく打ち上げに呼ばれなかった他の4人と一緒にプリント課題をする羽目になります。クラスで「ぼっち」の5人が接するにつれて、少しずつ距離感が狭まっていきます。面白かったです。紛うことなき青春で、ほんのりとした恋の雰囲気も感じられる中、それぞれの事情に対して焦点も当たり、良い後味を残して綺麗に纏まっていた一冊でした。2022/01/12
ふゆ
19
青春は楽しいことばかりではありません。時には悩み、思い詰め、挫けそうになることも青春です。この作品では、各々事情を抱えた5人が、ある出来事によって3日間だけ、5人だけのクラスメイトとして過ごす物語になっています。転校気味で仮面を被り続けている主人公、いい噂がないクラスメイト、いじめっ子、一匹狼、厄介者……。様々な出来事をみんなで乗り越え、互いに手を貸しあって立ちあがろうとする姿に感動しました。“ずっと絆がほしかった–––” 大変面白かったです。2023/05/17
なみ
12
教室に集まった、ひとりぼっちの5人の高校生が、交流をしながら絆を深める青春もの。中心になるのは、転校生の主人公、奈苗と、少し乱暴なところのあるイケメンの大北くん。奈苗は大北くんと話すうちに、本当の彼を知っていって……。 それぞれに問題を抱えた5人が、お互いに影響を及ぼしつつわかり合っていく過程が、繊細な心情描写を交えて描かれていて、すごく眩しかった。 個人的には落合くんが好きです。みんなと仲良くしたい。それがきれいごとだとわかっていながら、それでも諦めずに自分を貫くところがすごく良いなぁと思いました。2021/08/21