内容説明
1960年代末、マンガ、映画、演劇、アート、さまざまな表現分野で変革の波が起きていた。その中心にあった、白土三平「カムイ伝」連載の『月刊漫画ガロ』編集部に本書著者は転職する。そして、長井勝一編集長のもと、つげ義春「ねじ式」、滝田ゆう「寺島町奇譚」誕生の瞬間、林静一、佐々木マキらのデビューの場に立ち会う。その後、北冬書房を設立し今も活動は続く。巻末対談、つげ正助
目次
第一章 『ガロ』創刊のころ
神保町界隈
『ガロ』創刊のころ
第二章 『ガロ』の人たち
『ガロ』編集室
池上遼一とつげ義春
佐々木マキの反逆
滝田ゆうと国立の喫茶店にて
林静一の抒情性
異能の人たち
「つげ義春以後」の表現者たち
第三章 美術、映画、本……
現代美術の人たちと
映画と演劇と本と
第四章 回想と追憶の人々
水木しげるサンを偲ぶ
辰巳ヨシヒロ追憶
鈴木清順監督の思い出
渡辺一衛さんを悼む
うらたじゅんさんを偲ぶ
梶井純を偲ぶ
終章 長井勝一さんとつげ義春さん
長井さんとの五年余り
『夜行』創刊のいきさつ
つげ義春作品の内と外
つげ義春の「創作術」について
巻末対談 つげ正助と語る「つげ義春」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
78
「ガロ」編集部に5年半在籍した著者が、その頃の人と時代を語る。私は、その当時「COM」を読んでおり、「ガロ」から生まれた漫画にハマり出したのは、大学に入った頃からだったろうか。白土三平にしろ、つげ義春にしろ、林静一にしろ、赤瀬川原平しろ、その文学的で芸術的で反体制的な作風には熱中した。この本には、その作家たちが繰り広げた熱い時代が振り返られている。また、当時の熱い映画の状況も語られていて、加藤泰や鈴木清順ら映画監督たちとの交流も面白く読めた。あの時代の漫画たちに触れたくなってくる。2021/05/09
アナーキー靴下
70
ガロ自体は読んだことがなく、つげ義春や林静一のイメージがあるばかり。そのうえ本書で語られるのは主に60年代から70年代前半と、私が生まれる前の話だ。にも関わらず、当時の空気が伝わってくるような臨場感のあるエッセイ。漫画や漫画家のみならず、時代そのものを語っていて、読み終わってみるとタイトルに偽りなし、と納得する。著者は、個性的な才能溢れる若者たち、その尖った感性や思想から生み出されるものを、より魅力的に見せる裏方に徹してきたのだろう。戦後社会の洞察と、神保町「ガロ編集室」界隈への、郷愁にも似た何か。良書。2021/06/03
fwhd8325
68
貸本文化と「ガロ」。そして神保町。小学校になったかなる前から貸本屋でマンガを借りて育ちました。少し高い棚には水木しげる、永島慎二、佐藤まさあきさんの作品があったようですが、子どもの私の視界には入りません。少女マンガを書いていたちばてつや、赤塚不二夫さんの作品を欲借りていたように思います。雑誌の中に「ガロ」があったかも覚えていませんが、少年漫画のタッチと違う表紙は見てはいけないものと思っていました。学生運動の時代と重なり、こうして文化が創られていったのだと思う。 2021/08/15
阿部義彦
26
ガロに関する、1960年代の実際の編集者の証言。著者にとっては、つげ義春、林静一の存在が大きかったようです。青林堂を辞めた後も自分で北冬書房を設立して、活動を続けて居ます。本当にガロは異能の人間の巣窟だったのだなあと思えます。また交流のあった人々のエピソードも面白く、興味深い事柄も沢山ありました。林静一さんのデビューから関わり、あがた森魚の「うた絵本 赤色エレジー」まで出版されていた事をこの本で知りました。巻末のつげ義春さんの息子さんとの対談も面白く読ませて頂きました。文庫オリジナルです。2021/02/23
Bo-he-mian
22
「むさぼるように読んだ」とはこの事だ。特に文章が饒舌で自己主張が強い訳でもなく、むしろ朴訥とした文体で、しかし読みやすい。この世代の知識人って、ムヅかしい横文字や漢字をぶわ~っと並べてまくしたてる人も少なくないけど、そういう斜に構えたところがなく、至極フツーに読めてしまう。その親密さと好感度が佳い。本書は、伝説の漫画雑誌『ガロ』で編集に携わっていた高野慎三氏が、主に'60~'70年代を中心に、ガロ周辺の交友関係を綴ったある種の個人史だが、著者の目線から見た漫画家たちの姿がとても興味深い。2021/02/20
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