内容説明
東海の強国駿河は、守護今川氏親(うじちか)の手で着々と覇道を進んでいた。東に北条、北に武田、大国が激しく牽制しあう戦国の世、氏親とその妻妾の息子たちも、奇しき愛憎の闘いに巻きこまれてゆく。野望のままに、広大な富士の裾野を馳ける武者の修験者たちの凄絶な生と死。今川一族が興亡を描き切った傑作長編。(講談社文庫)
目次
一 花の稚児
二 闇の力
三 凶兆
四 初陣
五 血の絆
六 野は悽愴
七 花倉の乱
八 覇者
九 影と光
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
四葉
14
「芳菊丸(幼名)」「栴岳承芳(号)」「義元」と名が変わるにつれ立場、周囲が変わり、教えられて来た事から新たな自我を育てていく過程が面白く成長記として読むならとても魅力的に感じました。思いを込め難い隣国や他家との関係を兄弟という繋がりを通して見ることでその苦悩や受難をも共感しやすく描かれている感じ…ただ最後まで山本さんの生き様だけは理解できず…何方かその意味を教えて欲しいくらいです。最後は儚く皆川さんらしくない作品でしたけれども面白かったです。2013/04/15
巨峰
9
織田信長・徳川家康そして武田信玄が主人公の小説の敵役として取り上げられることはあっても、真正面から描かれることの少なかった駿河今川氏。今川義元・雪斎を主人公にした待望の歴史小説。とはいうものの、そこは皆川博子。正史稗史を織り交ぜて、中世の妖しさの名残を感じさせる優れた物語になっている。 『瀧夜叉』『妖櫻記』が好きな人は是非。おいらは○本村だけで正体わかったぜ。2010/04/07
けやき
6
今川義元を補佐した九英承菊(太原雪斎)を中心とした今川家の興亡に、富士修験に生き神とされた炸耶様の闘いを絡めて描いた伝奇小説。 今川義元というと桶狭間の戦いで、織田信長に蹴散らされた武将ですが、兄の玄広恵探と家督を争う「花倉の乱」を勝ち抜いたみたいです。 今川氏親を父にもつ5人の兄弟の物語でもある。史実かは別ですが(笑) 炸耶様の人生も波乱に満ちています。 物語の最後には義元の嫡男の氏真が登場。 雪斎に「天下はいらぬ」と答え、今の<さとり世代>を思ったりしました。 太平の世を生きる理想の姿かも。2014/07/31
kinta
2
今川、という「敗者」としてか見られることの多くない氏族の家庭内の奇妙な結びつきを皆川流に料理したクランの歴史。地政学上で、どうしても相模、甲斐との同盟そして三河尾張の拡張路線は規定路線として、それ以外を描く。故に富士における修験道というある種この国の裏歴史を奔放な筆で描き、そしてその中からかの有名な軍師も生まれる、という離れ業もやってのける。そして義元の史観から生まれた、いきなり現代史観で生きる氏真という人物の誕生。結句既存の歴史は放置して氏真の思考が出来るまでの物語といってもいいかもしれない。2023/11/06
自然堂
2
作者があとがきで述べている「今川氏の興亡という正史の流れに、物語の嘘をとりまぜたロマン」という言葉が全て。確かにその通りだったんだが、その「嘘」の部分があまりに荒唐無稽で個人的にはあまり好きな作品ではなかった。九英承菊の兄弟設定や照日だのなんだのいうよくわからん登場人物は蛇足だったのではないか。氏真の描写等、ハッとする程素晴らしい部分があっただけに余計に惜しい。もっと普通に「今川記」を書いてくれた方が面白いものになっただろうに。なんというか、中途半端な作品という印象が強く残った。2011/09/23
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