内容説明
佐藤春夫と堀口大學は、仲良しすぎて恋人だと疑われた? 芥川龍之介は友達を思って己のパンツを貸した? 国木田独歩と田山花袋はケンカばかりなのに同居していた? 「ぼくのお父さんになって」と懇願される夏目漱石? 近現代史にその名をとどろかせる文豪たち。彼らの人間関係は一口に友情と呼ぶのもはばかられるほど濃厚な魅力に満ちていた。文庫化に際し、新章を加え大幅改稿した完全版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
72
「文豪とアルケミスト」などの一連の文豪ものからスライドしてきていただきたい作品。ネット全盛の現代とはまるで違う彼らの距離感に驚かされ、人間関係に微笑ましいものさえ感じられる。興味がある作家を見つけたら、巻末の「おすすめブックガイド」を携え、図書館や書店へGO!2021/09/12
みやび
32
それぞれの文豪達の濃い交流関係や、意外な一面を垣間見る事が出来て、かなり面白かった。文豪ともなると、互いに投げかける言葉すらも文学的で美しかったりするので、それが却って微笑ましく、思わず笑みが漏れてしまう。明治から昭和にかけて、すごい文豪が同じ時代を生きて生活し、街を闊歩したり文学談義をしていたのかと思うと、なんて贅沢な時代だったのだろうと思う。互いを思い合いまた感情をぶつけ合い、時に殴り合ったりしながらも、心で繋がり生涯の友となる。破天荒で濃密な人生。今はもうどこにも彼らはいないのだなぁとふと思った。2022/01/10
❁Lei❁
22
「文豪とアルケミスト」や「文豪ストレイドッグス」などから文豪に興味を持った方におすすめの一冊。恋愛にも似た熱い友情や、喧嘩を拗らせた歪な友情など、文豪たちの濃すぎるエピソードを知ることができます。さらに深く調べるための図書案内もついていて、文豪入門書として最適です。私は萩原朔太郎と室生犀星の「二魂一体」の関係性が好きです。2022/12/17
coco夏ko10角
19
文豪たちの様々な文豪エピソード。男性の友情ってなんだか濃いなぁ。石川啄木、その状況で盆踊りってすごい。夏目漱石の葬儀の様子にこちらまで。2021/11/03
たろさ
15
以前から読みたい本に入れていたが文庫化を機にやっと購入。どのエピソードも笑えたり切なかったり文豪たちの本気の友情が羨ましく思う。正岡子規の将来を案じた夏目漱石が「鳴くならば満月になけほととぎす」と書いた手紙が美しく、石川啄木は自分の勤める新聞社も焼かれた火事に盆踊り。三好達治の追悼詩や室生犀星の「供物」など友を悼む言葉も素晴らしい。内田百閒が「師のユーモアを唯一受け継いだとも言われる。」には妙に納得してしまう。最後におすすめガイドブックもあるので参考にしたい。2021/10/05