内容説明
文学、旅、酒、食…。人生の愉しみを自在に綴る吉田健一の芳醇な随想を盟友中村光夫が精選。虚実のあわいに遊ぶ名篇「酒宴」を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
15
ゆらゆらしながら読んだ。わかるようなわからないような文章の感触。今はこれが楽しめる、5年前ならきっと楽しめなかった。英語は文法が意味不明で現地の人間も誰もわかってないのだから「わかる」なんてことはない、と言っている文章面白い。食い物と酒の文章より旅の文章が良いと感じた。児玉に行きたくなったけど、果たして本当に行くだろうか。埼玉県に住んでいるけど、県内からでも遠い。中村光夫の解説で恋愛/友情の違いに触れていて、あまりにステレオタイプな男女論で苦笑してしまう。英国の特性を語りたいのはわかるけど。2022/01/27
Ex libris 毒餃子
13
前半は英・仏文学について語られているが、後半からは酒。東京駅の改札くぐった先にある食堂で生ビイルとハム・エッグを電車が来るまで食べると美味いとか酒蔵の技師と朝まで飲んで、それから技師の酒蔵まで行って酒宴をするとかわけわからん行動派吞兵衛かと思いきや、イタリアとドイツを暗に野蛮人扱いするブリティッシュ仕草をぶち込んでくるあたりが英国的教養をしっかりと身に着けた文化人なんだなと思われる。英語勉強法は真剣に読んで損したけど、吉田健一がいうならそうなんでしょう(と思わせる文章力)。吉田家の血筋ってすごい。2021/09/01