岩波現代文庫<br> 『コーラン』を読む

個数:1
紙書籍版価格
¥1,738
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

岩波現代文庫
『コーラン』を読む

  • 著者名:井筒俊彦
  • 価格 ¥1,628(本体¥1,480)
  • 岩波書店(2021/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 420pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784006002831

ファイル: /

内容説明

イスラーム哲学研究の第一人者が,『コーラン』をテキストにそって,多角的な観点を用いながら解読する.イスラームの根本概念である「終末論」「預言・預言者」「啓示」等を通して,『コーラン』の深い精神性が明確にされる.本書は,優れたコーラン入門としてはもとより,井筒哲学の基礎的構造を論じた「井筒俊彦入門」の書でもある.(解説=若松英輔)

目次

『コーラン』を読む┴目次┴第一講 『コーラン』を「読む」方法┴1 『コーラン』の形成┴2 「読む」こと┴第二講 神の顕現┴3 『コーラン』の解釈学┴4 「開扉」の章┴5 神の顔┴第三講 神の讃美┴6 存在、すなわち讃美┴7 神の生ける徴┴第四講 神の創造と審き┴8 イスラームの人間観┴9 『コーラン』の存在感覚┴10 信仰の概念┴11 イスラームの終末観┴第五講 『コーラン』のレトリック的構成┴12 レアリスティックな表現レベル┴13 イマジナルな表現レベル┴14 ナラティヴな表現レベル┴第六講 終末の形象と表現(その一)┴15 レトリックの言語学┴16 『コーラン』の発展と表現意識┴17 終末の描写┴第七講 終末の形象と表現(その二)┴18 レトリックの重層性┴19 終末の概念とイマージュ┴第八講 実存的宗教から歴史的宗教へ┴20 神の奴隷┴21 アブラハムの宗教┴第九講 「存在の夜」の感触┴22 存在の夜┴23 預言者と預言現象┴第十講 啓示と預言┴24 啓示の構造┴25 神の導きの二面性┴26 質問にこたえて┴後記┴解説「読む」という秘儀──内的テクストの顕現 若松英輔

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

65
書かれた言葉としてのコーランは一つの解釈に縛られず、各人が生きる状況に即した読み方をしてよい…という立場を取りながら、著者はむしろ原初の預言…つまり神からムハンマドに向けた発話としてのコーランを追究する。本来の意味価値への遡及に、揺れを束ねていくというこの読み方には、何か滋味溢れるものを感じる。しかも僅か七行しかない開扉の章を徹底的に読み込んでいく。コーランの扉を開けるその言葉に全イスラームの精髄があるとムハンマドが言ったそうだ。扉を開け、光に包まれる…というイメージを得ただけでも本書を読んだ甲斐がある。2015/05/31

syaori

63
『コーラン』に辟易したとしたら、それは「『コーラン』を生きた形で読み」「理解するための「読み」の技術が欠けて」いるからだと作者は言う。その技術とは『コーラン』の文句がイスラームにとって「どんな意義をもっているか」、それを「下から支えている」世界像を知ることで、例えば”アッラー”と日本語の”神”の持つ意味の違いを認識すること。本書は門扉の章を読みながら「イスラームという宗教の底にひそんでいる世界感覚」を分かりやすく示してくれて、『コーラン』に限らずイスラームの思想に触れる時の指針になってくれそうな本でした。2020/09/17

ころこ

46
前半に解釈学への言及が多くある通り、近代的なアプローチに驚きます。イスラム教へのコミットメントからイスラム的な表象に終始するかと思いきや、最近の実存的『クルアーン』紹介とは異なり、所詮は外の文化圏の人間だという開き直りが清々しい。著者の異常ともいえるアカデミックな能力が発揮される引出しの多さから来る自身の表れでしょうか。テクストをレアリスティック、イマジナル、ナラティヴの三層に分析します。一生かけて読んでいる人がいるテクストを分かったとはおいそれといえない中で、僅かな時間をコーランと共に過ごしました。2021/12/30

しゅん

14
ずっと読みたいと思ってようやく読み始めた井筒俊彦。82年に行われた連続講義の製本化において、そもそも「読む」とは何かを問い直しながら、「コーラン」が編まれた文化体系へと読者を誘っていく。三つのレベルのテクストが混在しているのがコーランの読みにくさであるという指摘も新鮮だったが、蒙を開かされたと感じたのはイスラムとは神に対する奴隷の思想であり、誇り高き砂漠の民にとっては大変不自然で受け入れ難いものであったという指摘。イスラムはアラブに自然に根付いたイメージを持っていたので、そこはすっかりひっくり返った。2023/07/15

roughfractus02

7
啓示と預言という特異な情報伝達が文字を媒介して一冊の書物になっている点に、著者は最大限の注意を促す。一方的伝達である啓示を預言は正しく人間言語に変換する行為だが、文字はその状況を欠落させ、時代や土地の違いで多様な解釈を生む。それゆえ著者は。言葉と意味の関係の変遷を扱う意味論的立場でムハマンド以前のアラビア語語用の中に『コーラン』のシャーマン的語調を置き、その言語使用に沿って存在一性的秩序へ接近する。すると「ささやく」は「呪う」という意味となり、魔が跋扈し終末に接するこの暗い世界から多層的な宇宙が現れる。2021/01/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6379683
  • ご注意事項