内容説明
ドイツの外科医が戦地から故郷の子どもたちに書き送った,ふしぎで美しいおとぎ話.神のみこころにかなった花よめ花むこが教会に入るとひとりでに鳴りだすオルガンの話,ガラスの心臓を持ったおひめさまの話,コショウ菓子が焼けないおきさきと口琴のひけない王さまの話など,20編.どの物語も忘れがたい印象を残します.(改版)
目次
もくじ┴ふしぎなオルガン┴こがねちゃん┴見えない王国┴悪魔が聖水のなかに落ちた話┴錆びた騎士┴コショウ菓子の焼けないおきさきと口琴のひけない王さまの話┴魔法の指輪┴ガラスの心臓を持った三人の姉妹┴子どもの話┴ゼップのよめえらび┴沼のなかのハイノ┴不幸鳥と幸福姫┴若返りの臼┴カタカタコウノトリの話┴クリストフとベルベルとが、じぶんから望んで、ひっきりなしにゆきちがいになった話┴夢のブナの木┴小鳥の子┴天の音楽┴天国と地獄┴古いトランク┴訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
62
ドイツの外科医が戦場から故郷の子供たちに送った童話集。楽しくて美しい童話集なのですが、思いの外、深いテーマが描かれているように感じました。シニカルなのにロマンティック。説教臭さは全くない。それでも余韻を残すストーリー。「魔法の指輪」や「天国と地獄」、「若返りの臼」などは大人が読んでも思わず唸ってしまう。表題作の「ふしぎなオルガン」も印象的です。2023/05/24
たつや
47
はじめて読むのに懐かしい!そんな童話集でした。約20編もあるけど、有名?な作品はあるのだろうか?個人的には「天国と地獄」がシニカルで好きです。挿し絵も、昔の情緒があり、好きです。最近、心が癒しを求めているんだろうか?この岩波少年文庫を片っ端から読みはじめてからは、心が満たされ充実してます。2017/06/01
ケロリーヌ@ベルばら同盟
34
「ふしぎなオルガン」に始まり「古いトランク」に終わる20の掌編を収めた本書は、1952年国松孝二氏により美しい日本語に翻訳され岩波少年文庫の一冊として、戦後間も無い日本の子どもたちの元に届けられました。ひとりでに鳴るオルガン、人間の言葉を話す動物達、トランクの秘密…。魔法も、神の御業も、平易で温かい言葉で綴られる物語は、ドイツの近代医療の基となった医師の一人であるリヒャルト・レアンダーが、普仏戦争に従軍中、故国の子どもたちに向けて書いた物でした。信仰と、人の命と精神の尊さが、寓意の中で穏やかに語られます。2018/09/24
アオイトリ
21
読メのレビューより) レアンダー、初読。大人の心に響く上品なメルヘン。そうよなぁ…と、思わず唸ってしまいます。老成した人間洞察が感じられるけど、とても知的にロマンティックでよかったです。見えない王国は、ドイツらしい美しいお話。ゲーテやハイネの詩が好きなひとにオススメ。2023/06/30
seraphim
21
ドイツの従軍医だった作者が、独仏戦争のときに、フランスで故郷の子どもたちのために書いた童話。キリスト教が下地にある国の人ならではのお話だと思う。表題作は素話でも語られる演目。少し大きな子ども向けで、私にはちょっと難しいと思った。2015/05/12