幸いなるハリー

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幸いなるハリー

  • ISBN:9784750517032

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内容説明

老い、病、性のきらめき、言えなかった秘密、後戻りのできない人生の選択。
「世界最高の短篇作家」による珠玉の10作品。



人生には完璧な絶望も、澄みきった希望もない。
パールマンの短篇集にちりばめられた無言の種は、あなたのなかで芽吹いて、やがてぞっとするほど優雅な花を咲かせるだろう。
――松家仁之(作家)


愛おしさ、愚かしさ、優しさ、酷たらしさ、善意と悪意、救済と断罪etc.
人間のすべてを知り尽くした作家、それがイーディス・パールマンだ。
――豊崎由美(書評家)


なにかを諦める。苦く、みじめで哀しい一瞬――それらひとつひとつを柔らかい布で磨きあげ、息を呑むほど美しい宝石に変えてしまう。人生の粋を極めた短篇集。
――倉本さおり(書評家)



本書は、原書Honeydewのうち『蜜のように甘く』(亜紀書房、2020年刊行)に未収録の10篇を訳出した日本オリジナル版です。



【目次】
■ 介護生活
■ 救済
■ フィッシュウォーター
■ 金の白鳥
■ 行き止まり
■ 斧が忘れても木は忘れない
■ 静観
■ 花束
■ 坊や
■ 幸いなるハリー

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かりさ

44
パールマンの人生の深さや重なりから生まれる短篇世界の美しさに、生きることの辛さも苦しみも諦めたこともその全てが愛おしさに包まれる。物語の快楽の真髄を得る。古屋美登里さんの訳がパールマンの世界をさらに彩り宝箱のような存在にしてくれます。2021/08/16

24
静寂を感じさせる美しい文章からなる10の短編集。『蜜のように甘く』を読んだだけで著者の文章や物語に惹かれたが、そのぶん今回は期待値が高すぎたのかもしれない。それとも、わたしの心持ちが変わってしまったのだろうか。きっと小説自体は何も変わっていないのに、前作ほど物語に入り込めなかった気がする。ただ、静謐な文や、物語の雰囲気は変わらず好きだ。これからも著者の作品を一つでも多く追い続けたいし、邦訳がどんどん出されることを望んでいる。★★★★☆2021/12/08

のりまき

19
とても良かった。「静観」「幸いなるハリー」が好き。「静観」は何となくジョン・アーヴィングを思い出してしまった。「幸いなるハリー」ソファに叔父さんの名前をつける。出所のわからない鉢植え。いろんな物を飲まされる。そんなところがたまらなく面白かった。2021/08/13

uniemo

16
面白い短編集でしたが私には「蜜のように甘く」のほうがわかりやすくて素直に楽しめました。本作は色々と匂わしが散らばっているのに全てを気づけてないような読後感が残りました。「行き止まり」と「坊や」が良かったです。2021/09/02

フランソワーズ

14
知的好奇心をくすぐる短編集。ドライな感じのする文体であり、人物描写が独特(特に『斧が忘れても 木は忘れない』)で、少し狂気めいた空気感が好い。「異なる要素で構成されている世界」が密接につながっていながらも隔絶もされている『救済』、『金の白鳥』。もっと身近な生活圏内でのそれを描いた『行き止まり』。お気に入りは、『静観』です。2021/08/14

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