内容説明
日系米国人作家によるエドガー賞候補作!
米国で生まれ広島で育ち、戦後帰米した日系二世、元庭師の老人マス・アライ。マスと同じく原爆体験を持つ帰米二世の親友・ハルオが亡くなり、広島の沖合にある小島に暮らす遺族に遺灰を届けるため、マスは50年ぶりに日本を訪れた。そこで彼は、少年が犠牲になる痛ましい事件に遭遇する。小さな島を訪れた異邦人でしかないマスだが、広島で経験した少年期の傷痕を思い出し、14歳で命を落とした少年のために謎を追う。
日系米国人作家が父親をモデルに、15年間にわたって描き続けた「庭師マス・アライ」シリーズ第7作。このシリーズ最終作では、父親の故郷・広島の現代の情景を鮮やかに活写し、さらに複雑なアイデンティティを持つ主人公の頑固爺の内面を見事に描いて2019年エドガー賞最優秀賞(ペーパーバック・オリジナル部門)最終候補作となった。日本のメディアでも話題となった傑作ミステリが、満を持して登場。
(底本 2021年8月発行作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Panzer Leader
58
親友の遺灰を親族に届けるため50年ぶりに広島の小島を訪れた帰米二世のマス・アライ。連絡船で見かけた少年の遺体を発見した彼は否応なしに事件に巻き込まれていく。しゃかりきではなく仕方ないなとぼやきながらも真相を探っていく姿はユーモラス。終わりの方でもうすっかり忘れたと思っていた日本人としてのアイデンティティーを再発見する描写は重くもあるけど郷愁を感じさせる。2022/04/14
空猫
39
米国で生まれで、日本に帰郷し被爆。その後18才で単身渡米したというマス・アライ。親友の遺骨を届ける役目で70年ぶりに広島に降り立つ。そこで少年の事故死に巻き込まれ…。ミステリとしてよりも、アメリカ人でもニホン人でもない彼目線で「ヒロシマ」を語った点で斬新だった。86才にしては行動力ありすぎな処はさておき、八月に読むには最適な一冊、かな。シリーズ最終章て!?2022/08/10
小太郎
38
平原直美さんは初読み。実は英語で書かれていてエドガー賞の最終候補に選ばれた「庭師マス・アライ」シリーズの7作目で最終作の作品。主人公日系二世のアライが親友の遺灰を50年ぶりに広島の姉の所へ届けるところから始まる物語です。 とても不思議な文体と言うか雰囲気を持った小説でした。これは元々日本人だった平原さんが英語で日本独特のシチュエーションを伴ったミステリーとして書いて、それを芹澤恵さんが翻訳をしているからだと思います。何よりもこの小説を通して語られる被爆地広島の見事なスケッチになっていました。★3.52024/09/23
ナミのママ
37
日系アメリカ人から見た広島はどんなだろう?そんな好奇心から手にしてみた初読みの作家さん。舞台は瀬戸内海の似島がモデル。主人公は米国生まれ、広島で育ち原爆体験のある老人マス。親友の遺灰を届けるため50年ぶりに訪れた広島。フェリーの中で見かけた少年が翌日死亡し、その遺体を発見したのがマスだった…という説明だが犯人探しのミステリが主体ではない。原爆の様子はもちろん、何代にもわたり家族にのしかかる重さ。しかし淡々と書かれているため国内小説とは違う読後感だ。日本名で書かれているが翻訳作品。2021/10/10
しゃお
32
86歳のマス・アライ。帰米二世のマスは親友の遺灰を親族に届ける為に50年ぶりに広島を訪れるも、瀬戸内海の島で少年の遺体を発見。更に遺灰が何者かに盗まれてしまう。その中で米国でも日本でも余所者であった事を認識する様子や、戦争を体験した者、被爆した者達が抱える重さなどがずしりと訴えかけます。しかし年老いても矍鑠としたマスのどこか軽妙な様子がその辺りをやわらげて読みやすくも。マス自身が自身のルーツや被爆体験、そして家族の事などを改めて思い起こす様子などは清々しいものがあり、「ウンガイイ」事に胸が熱くなりました。2022/04/08
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