内容説明
この本は、回文にフジモトさんがイラストを付け、そのイラストと回文を元に中村さんが文章を書くという手順でうまれました。
摩訶不思議で魅惑的なイラストに、謎解きのような、誰かの夢の中に迷い込んだような物語。
中村航×フジモトマサルがお届けする、回文とイラストが育んだ“奇跡の本です。
―泣いたウミガメに女神歌いな(ないたうみがめにめがみうたいな)
―よし、今夜ニャンコしよ! (よしこんやにゃんこしよ)
―満月は発言魔(まんげつははつげんま)
―旦那、映画館なんかが家なんだ(だんなえいがかんなんかがいえなんだ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
133
回文を元に小説を書いたとても不思議な本。読んでいてこんなのも回文なのかと驚きの連続だった!回文。上から読んでも下から読んでも同じ言葉。そのため意味のないものも多くなってしまう。しかしその回文から連想される物語を紡いで1つの小説になった。旧世界ではやってたことを新世界でやる。その旧世界の話もなんとなくおかしい笑 合同ヤングコンパ 結婚の儀などなど。いまの世の中でもやらないだろうというものをやっている。そしてイラストがめっちゃいい!フジモトマサルさんの絵が本当にいい味を出している。皆さんもぜひ見てみて!2021/11/28
おかむー
78
「さみしさの刺身さ」このように回文というものは文章としての意味はとおらないことがほとんどです。その回文にフジモトマサルがイラストをつけ、それを受けた中村航がショートストーリーを加えてゆくという珍しいコラボ作品。『よくできました』。回文とイラストによるシュールな世界観に、中村航のファンタジックかつ生活感を醸し出す作風がしっくりと馴染み、いっさつを通してひとつの物語を成立させているのに感心しますね。そして中村作品のお約束、どこかで見たコトバや文章がちらほらと紛れ込んでいるあたりでほっとしてしまいますよ。2016/11/06
keroppi
76
投稿された回文に、フジモトマサルさんが絵をつけ、中村航さんが文をつけた。不思議な世界が現れる。終わりは始まり。言葉は回る。この見事な回文と世界の広がりを読みながら、感想を回文で作ってみた。「ナーイス回文、全部生かす。いーな(なーいすかいぶんぜんぶいかすいーな)」ちょっと無理あるかな。2020/12/28
ひめありす@灯れ松明の火
61
一般の方から募集した回文にフジモトマサルさんがイラストをつけ、そこに中村航さんがショートストーリーをくっつけるという、その瞬間にしかなしえなかったお話達。凄く面白い訳ではないけれど、肩の力を抜いて気楽に読めました。恐ろし気なホラーあり、SFあり、ラブストーリーありで盛り沢山。フジモトマサルさんのイラストゆえか、動物が出てくるものがやたら多くて妙に人間臭い動きの動物たちが面白い。回文も長いのもあって、こんなのを思いつくなんてすごいなあ。いつ考えるのだろう。長き夜のとをのねぶりの皆目覚め波乗り船の音のよきかな2017/07/23
ひらちゃん
55
回文ゆえに怪文。意味の通らない文なれど、意味を持つシュールな短編に仕上げてくる中村航さん。そこにとぼけたフジモトマサルさんのイラストが絶妙なコラボを見せる。なが~い回文を作るにはどんな頭がいるのやら。一個も思いつかない‥‥。この二人ただ者じゃない(笑)2016/12/21