内容説明
1939年、日韓併合時代の夏、平壌一中の一番ショート・朴龍雅(パクヨンア)と二番ショート・吉永龍弘の名コンビは甲子園出場を目指して野球に夢中だった。その後、朴は少年飛行兵に、吉永は陸軍予科士官学校に進学。軍人の道を歩み始めた二人だったが、戦況が悪化する中で、朴は東南アジアの撃墜王となり、朝鮮の英雄と呼ばれるようになる。懐には幼き頃に友からもらった白球があり、それが朴の心の支えだった。一方、少尉となった吉永はマニラに赴任。戦況を打破するための「特攻作戦」に関わることになり、再び二人の運命は交錯する――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
87
これも去年買ったサイン本。というかサイン色紙のおまけ付きでした。読もう読もうと思いつつも重い気持ちになるのはわかっていたのでなかなか手をつけられずにいましたが、やっと読了。やっぱり重い気持ちになりました。第二次大戦の頃の話がメインですが、現代のパートとクロスオーバーしてきます。特攻隊は考えれば考えるほど理不尽ですよね。オチにはびっくりしたけど、それよりも当時のディテールが丁寧に書き込まれていて引き込まれます。何年か前に旅行で大分に行ったときに特攻隊の遺書とか見ましたが、なんかいろいろ考えさせられました。2022/10/24
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
13
2021年 8月 8日 初版。。。まあ所謂青春小説なんだろうけど、戦前戦中戦後と翻弄されていく若者たちを描いた作品であった。重きを置かれていたのは「朝鮮人の特攻」であった。このこと自体は知っていたがそんなに本も出ていなくて詳しくは知らなかった。最初に顔がそっくりであると書いてあるところから「入れ替わりだな」と想像がついた。朴が広告塔にされたのもわかるし、創氏改名とか内鮮一体とか複雑な問題も含まれていて読みごたえはあった。。。赤とんぼといえば秋茜より95式1型練習機を連想するのが先である。。。2021/09/26
HASE, Moto
3
1939年、朝鮮半島の平壌は日本の占領下にあった。甲子園を目指す少年たちのうち、日本人で2番ショートの吉永龍弘にとって、内地よりも平壌こそが郷里のような場所。朝鮮人で1番セカンドの朴龍雅《パク・ヨンア》は、朝鮮人が治める国家というものを知らない。 日本人か朝鮮人か、同じ“民族”でも家柄によって、就ける仕事も立ち居振る舞いも制限され抑圧されて、人としての尊厳をないがしろにされる。 そんな社会情勢にあっても貫かれる友情や信愛や敬意が描かれているのが本作、なのだと思う。その爽やかさと健やかさが胸に残っている。2021/08/16
遠宮にけ❤️nilce
2
同じ白球を追いかける仲間の間でも、ふとした時に支配被支配の関係が垣間見えた子ども時代。双子のようにそっくりな吉永と朴だが、吉永が受ける事はない理不尽を朴はいくつも飲み込まされてきた。利用されてきた。逼迫する情勢に翻弄され、自分の人生を選択することが許されなかった彼らそれぞれが背負わされたものはあまりに重い。最後まで見逃せないドラマチックな展開に魅せられました。2021/09/16
jun89
2
読み応えがあって面白かった。 フィクションなんだろうけど、戦地の状況はきっと取材にもとづいたものだと思うので、その時代を追体験しているような感覚があった。2021/09/04
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