内容説明
1960年代、商業主義的だったフォーク・ソングに強烈なNOを突きつけ、社会の理不尽に抗う歌を発表した「関西フォーク」。シーンを牽引した「五つの赤い風船」のリーダー・西岡たかしへのインタビューをもとに、関西フォークの歴史をたどる。高田渡、ザ・フォーク・クルセダーズ、吉田拓郎などとの接点を視野にいれ、大阪・京都で“1968年”に奇跡的な輝きを放ったアングラ・フォークの魅力を語る。
目次
文庫版はじめに
プロローグ
第一章 レコードとギター──一九五〇年代の大阪
第二章 フォーク・クルセダーズという起爆剤──一九六〇年代のアングラ・フォーク
第三章 関西フォーク・キャンプの熱狂
第四章 アングラ・フォークの時代
第五章 中津川フォーク・ジャンボリーの狂騒
第六章 フォークはなぜ下火になったのか
エピローグ
あとがき
参考文献
解説 カンケリの似合うインテリ タブレット純
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
102
著者が60〜70年代フォークを語る。関西フォークという言葉は関西出身のフォークという意味もあるがはしだのりひことザ・フォーク・クルセーダーズのヒット曲「帰って来たヨッパライ」のようなアングラフォークの代名詞でもあったそうだ。それでも今聞けばアングラって何?という言葉自体通じなくなっているし、当時歌ったりワイワイしてたりしていた人も確実にじいちゃん、ばあちゃん。その全体像は本書の中に出てくるエピソードがわかりやすい。西岡たかしさんの「大阪弁」という歌が好きだったのでYOUTUBEを調べたらありました^^ 2021/06/02
へくとぱすかる
56
五つの赤い風船というより、西岡たかしを通して関西フォークを語る。なぎらさん視点なので、知らなかったこと、知っていても全く違った角度から見えることなど、単なる回想や音楽史を超える価値がある。何より「風船」を通してその時代を見る、という文章に今までお目にかかったことがなかった。なぜブームとなったのか、そしてブームが衰退(そう呼んでいいのかどうかも検討の余地がある)したのか。読んだ後の感想としては、アマチュアという言葉がキーワードになると思った。北山修さんいうところの「聖なる一回性」という言葉を強烈に思う。2021/06/30
gtn
24
2012年刊行本の文庫化。ここ何年かステージに立つのを止めた西岡たかしが、どこかの家か楽屋で歌っている夢を最近見た著者。メロディも耳に残っているという。「五つの赤い風船」のファンになってから半世紀を超える著者に、芸風と異なり、一途な誠実さを感じる。2021/08/01
阿部義彦
20
URC 50th BEST 「青春の遺産」を聴きながら読ませてもらいました。アングラフォークでも、どちらかと言うと、はっぴいえんどや赤い鳥など関東勢ばかりで、関西フォークはあまり馴染みがなかった自分にとっては勉強になり興味深かったです。あの頃、URCとエレックレコードはフォークブームを牽引してましたよね。西岡たかしさんと高田渡さんは戦友だったのですね。良くも悪くもほとんどの作詞作曲をになっていた西岡たかしさん有りきのグループだったのですね。あまりの時間の経過に本人達の記憶にも食い違いが有るのが面白い。2021/05/16
りょうけん
12
<白> なぎら健壱の文章ってこんなに稚拙だったっけ,と あらためて思ってしまった。なぎらの先の著『高田渡るに会いに行く』の時はそんな風には感じなかったので,この本はやはり 書かれた時期が『高田渡る・・・』よりかなり昔なので,その頃のなぎらの実力なのかな。でも 最近書いたはずの巻頭の 文庫の為の前書き みたいな部分も稚拙だったなぁ。あ,すまぬ。 2023/04/30