講談社学術文庫<br> 我と汝

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講談社学術文庫
我と汝

  • 著者名:マルティンブーバー【著】/野口啓祐【訳】
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  • 講談社(2021/08発売)
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  • ISBN:9784065246269

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内容説明

「まことに、〈われ〉は、〈なんじ〉と出会うことによってはじめて、真の〈われ〉になるのである。わたしが〈われ〉となるにしたがって、わたしは相手を〈なんじ〉と呼びかけることができるようになるのである」。
「すべての真実なる生とは、まさに出会いである」。
オーストリア生まれのユダヤ人哲学者マルティン・ブーバー(1878-1965年)は、ウィーン大学で哲学や美術史を学んだのち、神秘主義的なユダヤ教の一派であるハシディズムに傾倒しつつ、ユダヤ人のパレスチナ復帰を目指すシオニズム運動に参加する。1916年にはドイツ語圏ユダヤ人の指導的機関誌となる『ユダヤ人』を創刊してその編集にあたり、またフランツ・ローゼンツヴァイク(1886-1929年)とともにヘブライ語聖書(旧約聖書)のドイツ語訳を行う。その後フランクフルト大学で教鞭をとるも、1938年にドイツを脱してイスラエルに移住。以後はヘブライ大学に勤め、エルサレムで人生を終えている。
第一次世界大戦に志願兵として参加し、塹壕のなかで着想を得て執筆されたローゼンツヴァイクの『救済の星』(1921年)の刊行後ほどなく、本書は敗戦の爪痕も未だ深いドイツで1923年に刊行された。
ブーバーの主著でもあるこの本は、「ひとは世界にたいして二つのことなった態度をとる。それにもとづいて世界は二つとなる」という一文で始まる。二つの世界のうち、一つは〈われ〉‐〈なんじ〉の世界であり、もう一つが〈われ〉‐〈それ〉の世界である。世界は、単に人間の経験の対象となるときには〈われ〉‐〈それ〉という根源語に属し、これに反して関係の世界は、もうひとつの根源語、〈われ〉‐〈なんじ〉によって作り出されるという。
「対話の思想家」と称されるブーバーは、さらに「はじめに関係あり」と語る。「私」ではなく「あなた」でもなく、〈われ〉と〈なんじ〉、そして〈われ〉と〈それ〉の出会いから始まる世界とは、どのようなものなのか。そしてそれは私たちの生に何をもたらし、どのように変えていくのか。ユダヤ思想のエッセンスに満ちた普遍的名著が、いま〈あなた〉に語りかける!
(原本:『孤独と愛――我と汝の問題』創文社、一九五八年)

【目 次】
第一篇 根源語
第二篇 人間の世界
第三篇 永遠の〈なんじ〉

資料 あとがき〔一九六二年〕(佐藤貴史訳)

訳者解説
学術文庫版解説(佐藤貴史)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

iwtn_

5
すれ違いました。こういうキリスト教の真理が前提として存在し、それに至るためにはこうしなくてはいけない、といった記述で、感覚としてはわからなくはないが、しかしその前提の正しさの根拠は何処にあるの?と思う。百年前だとこんな感じで考えていたのか?並行して読んでいる本と関連しているように読めたところは面白かったが。〈なんじ〉との対峙、ねぇ。いや、こう書くと〈それ〉としか私は対峙したことはないんだな、で終わりそうな点が納得いかないし、もどかしい。あと、世界はずっと混迷していると考えられてきているのは間違いなさそう。2023/08/12

オフィス助け舟

3
この思想をちゃんと理解しているか、自信がないけれども、実感としてはしっくりくる。毎日の生活の中で、自分も他人も、相手の人を何かの目的のための道具(それ)として扱っているか、ただただその人に働きかけてより良い方向に促そうとしているか(なんじ)の違いか。対話をすることは難しいと感じている。なんじ、として人に相対することには勇気、というか、誠実さ、というか、傷を負う覚悟みたいなものが必要なのであって、それをできている人は、実はほんとうに少ないと思う、自分も含めて。2023/05/06

arisa

3
わたしとあなたが向かい合って、いまここに存在する当たり前の不思議さに目を見張るところから、世界が拓かれていく。「あなたはだれ?」という問いが、二人を包む。2022/06/02

spihase

2
われとそれ の利益を得ようとする関係は本来違うよね。われーなんじとそれを行き来してしまう。われなんじは、どこがいい、どこがだめとかではなく、なんじ全体。いや我との境すらないようなもの。 神周りは実感分かりにくかった。 解説から 出会い にとても意味を感じてる模様 2023/07/23

犬猫うさぎ

2
もしもひとが、なにものをもってしても消すことのできない現実の世界を愛したならばーーそれがいかに恐ろしかろうと、進んでそれを愛したならばーーもしもひとが精神という腕でこの世をあたたかくいだこうとこころみさえしたならばーーそのとき、かれの手は、この世をささえている別の手と触れ合うことであろう。(153頁)2023/03/04

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