内容説明
白鳳仏を代表する深大寺の国宝・釈迦如来像は、どこで造られなぜ武蔵野の地にやってきたのか。香薬師像の右手を発見した著者が新たな謎の解明に迫る歴史ロマンミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ryohjin
19
白鳳時代の仏像が武蔵国の深大寺(調布市)にもたらされた由来の謎を追いかけた本です。仏像研究の大家、水野敬三郎先生の講演のヒントから始まった謎解きの記述に引き込まれます。史料で確定できる部分を固めながら、不明な部分は、想像力を駆使しつつ推論していく。そのプロセスが、作者の想いをともなって熱く伝わってきました。乏しい史料からたどりついた現状の推論は、そのまま定説になるものではないかもしれませんが、水野敬三郎先生に報告し「矛盾はないですね。そして・・・ロマンがありますね」とかけられた言葉に感動しました。2023/08/06
じゃくお
3
仏像を学ぶために書店で本を探っているところ、地元住民として馴染み深い"深大寺の白鳳仏"について書いた本があったため購入しました。もはや歴史ミステリとも呼ぶべきロマン溢れる内容で、娯楽感覚で読むことができます。作者が新聞記者だったこともあり、学者が書いた本よりも軽くて読みやすいです。その一方で世俗小説じみた修飾があり、やや作者個人のロマンが読者に押し付けられる印象もありました。ただ作者が研究した内容は非常に面白いですし、その点は褒められる内容でしょう。学習ではなく知的娯楽に適切な本だと思われます。2022/10/27
Go Extreme
2
白鳳三仏: 飛鳥仏→白鳳仏→天平の仏像 白鳳仏いろいろ 「白鳳三仏」って何 香薬師像の右手: はじまりはコピー仏像 光明皇后の念持仏 仏像研究者の記録 鎌倉の古刹から新薬師寺へ ミステリーな深大寺像: 深大寺の創始 関東最古の傑作白鳳仏 仏像研究者の歴史ロマン 高倉福信: 相撲上手で聖武天皇に召される 力士から異例の大出世 迷走: 渡された場面 『私案抄』と民間伝承 光明皇后と福信 光明皇后と橘諸兄 福信、山背守から武蔵守へ 平城山を越えて: 恵みの巡行 井手寺跡 橘諸兄の墓 いにしえの橘諸兄2021/07/29
So Honda
0
最近ちょうど深大寺の創建伝説を調べていて、またなぜ白鳳期の仏像が東国にあるのか謎に思っていたところだったので、馴染みのある地名や人名が紐解かれていく記述を引き込まれるように読んだ。2025/03/26
鈴木貴博
0
深大寺の国宝・銅造(伝)釈迦如来倚像は代表的な白鳳仏に数えられるが、なぜ、どのように当時の中央から遠く離れた東国・武蔵野にもたらされたのか、これに関する寺伝もなく謎に包まれている。これについて著者が文献資料や伝承をもとに推理し、ひとつの結論を導きだす。2023/03/26