内容説明
なぜ表現の自由か。入門書の新たな決定版!
SNSの普及により誰もが表現者になれる昨今、ヘイトスピーチなど新たな紛争が増える一方、秘密保護法や共謀罪、公文書改ざんで民主主義の危機は深まるばかり。
錯綜する問題状況を整理し未来に開かれた表現の自由論を展開する!
【著者】
志田陽子
武蔵野美術大学教授。1961年生まれ。主著に『文化戦争と憲法理論』(2006年)など。
目次
第1章 表現者の足跡――なぜ「表現の自由」か
第2章 一人ひとりの人格権と「表現の自由」
第3章 民主主義と「表現の自由」
第4章 共存社会と「表現の自由」
第5章 文化芸術と「表現の自由」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
msykst
12
民主主義という概念が超ロジカルなものなのだと再確認した。民主主義のコンセプトや、表現の自由の必要性みたいな理念と並行して示されるのは、それが法体系の中でどう論理的な整合性をもって運用されているのか、という話だった。むしろ強調されていたその難しさだったように思う。表現の自由は「他者の権利」と衝突する可能性があり(「公共の福祉」の議論)、その解決は簡単ではない。無論本書はそこで議論を終えるのではなく、理念と運用(とレギュレーション)を相互参照しながら、論理性と正統性のある解決策を探るのが肝である。2020/09/01
たろーたん
2
個人的に、様々な表現の自由の裁判例が面白かった。「「宴のあと」事件(1964)」は、三島行きの小説が、モデルとして書かれた有名政治家の私的な交友関係を公表したとして損害賠償を支払わされた事件だ。「「エロス+虐殺」事件(1970)」は、映画の登場人物のモデルとなった人物が、すでに本人が自伝の形で公表していた、自己の過去の犯罪歴と恋愛事情について描かれた部分につきプライバシーを訴えた事件だが、これはプライバシー侵害に当たらないとされた。(続)2024/08/24
WaterDragon
2
〝表現の自由〟とは何かーー。差別を助長する憎悪表現やヘイトスピーチが蔓延するなかで、あらためて考えさせられるテーマ。 「『表現の自由』は一人ひとりの精神的自由として重要だということと、『表現の自由』は社会を支えるために必要だということとは、切り離せない循環関係にある」 そのうえで、「ヘイトスピーチは、それらの言論を向けられた当人の人格に対する損害と同時に、マイノリティが沈黙してしまうことによる社会的マイナスを生み出す」。 素人には難しい法律的内容を豊富な判例と分かりやすい説明で書かれてあります。2018/11/04
ひろ
1
大学入試の副教材か法学部生の読み物みたいな感じ。国家安全保障(特定秘密保護法)や東京都の迷惑防止条例など、国家や自治体による情報公開・住民活動の規制において、規制対象のみを定め他は原則公開・許容すべきが、逆(許可)になっていたり、又は対象が不明確で自治体に広範な裁量が持たれていたり、という状況があることがわかった。また表現規制には細心の注意が払われるべきであり、それが存在するなら常により人権侵害的でない他の手段を選択すべき、という考え方に立つものであることがわかった。2025/05/08
いとのり
0
全青司活動で触れた志田先生の本を読んでみました。表現の自由はと言ってもこれだけ様々な論点があるとは不勉強でした。再読&精読しないといけないな、と感じました。不勉強を自白しましたので、白状しますが、「芸術の自由」というお話は考えたこともなかったので、目から鱗でしてた。勉強します!2024/06/11
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