内容説明
フリルやレースなど姫たちの装いの秘史を辿る。花飾りや真珠、扇からわかる18~19世紀の楽しい項目別の服飾史。宮廷画家たちが超絶技巧の限りを尽くして描いた凄さは圧巻。見開きに拡大した刺繍など、見ごたえ十分のオールカラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
83
表紙のポンパドゥール夫人のような有名な絵画が沢山登場し、そこに描かれている美しいドレスや服飾小物についての来歴や、背景となる社会情勢など様々な豆知識が得られます。生花を衣装に飾るために小さなボトルに水を入れたものが使われていたとは知らなかった!さぞ重かったでしょうね。レースやリボン、刺繍、羽飾り…アップで見るとその繊細さにため息が出てしまいます。眼福でした。2022/05/24
智湖@ベルばら同盟副会長
56
服飾史の専門的な内容で、難解かと思いながら読み始めたけれど、なかなか読みやすく最後まで楽しく一気読みした。名画の中の繊細なレースやドレスの布やボタン、パラソル等に関してその産地や当時の産業に関しても詳しく説明している。拡大された絵画の写真から、ドレスの布や革製品の質感等も堪能できた。 筆者は学生に服飾史の講義をされているが、是非聴講してみたいと思った。2023/02/01
NAO
54
取り上げられているのは、人物画、中でもその人物の衣装が詳細に描かれている絵画90点。その絵画に描かれている装飾品について、詳しい説明がつけられている。肖像画の場合、絵の依頼主は、自分の優位性を示すため、姿形だけでなく自分がどれだけ豪華な衣装を身にまとっているかをも描かせたので、布地の柄、幾重にも重なるレースの繊細な柄、細やかな刺繍、たっぷりしたリボンなどが細やかに描かれていて、その質感まで感じられそうなほど。解説には衣装の名称だけでなくミニ知識なども書かれていて、なかなかおもしろく読めた。2025/04/04
mahiro
41
西洋絵画の人物達の服装を服飾史の観点から解説説明している。優雅な貴婦人達のドレス、ロココの華やかなリボンのついた胸飾りはドレスの前の空きを隠す為の実用品でレースの袖飾りは縫い付けて取り外し使った、胸元や頭を飾る生花は萎れないよう水を入れた小瓶が隠されていたとか…縞柄が元々は忌むべき柄であったなど興味深い。西洋のお姫様ドレスは女性なら一度は着てみたいと憧れるものだが実際はとても着心地が悪そうだ、マリー・アントワネットがシュミーズドレスを考案するのも無理もない、窮屈と思っていた和服の方がよほど体には優しそうだ2023/06/22
くさてる
36
18世紀から19世紀の絵画に描かれた60の服飾小物に着目して、その意味や産業、文化について解説したもの。有名な絵画もあるしそうでないものもあるけれど、どれにも共通しているのは丁寧に描かれた服飾小物の存在感。レース、コルセット、手袋に羽飾りや水玉柄に真珠やセンス、それぞれの背景にある文化の歴史が興味深かったです。絵画もカラーで肝心な部分は拡大されており、解説も分かりやすい。面白かったです。2022/02/23