内容説明
【子ども支援の〈現実〉と〈希望〉】●「日本の虐待相談件数はうなぎのぼりだが、西成区の件数は横ばいだ。貧困も虐待も可視化され、『子どもを地域で育てる』のが当たり前になっているからだ」「行政から降ってきた制度ではなく、子どもたちの声が組織の形を決める。ここに、この町が生まれる所以(ゆえん)がある」東京大学大学院教授/現代中国研究者・阿古智子さん(朝日新聞・2021年6月12日)●「支援者へのインタビューを通し、西成の子育て支援の実情を浮き彫りに」「そこから確かな希望も見えてくる」(読売新聞・2021年5月13日夕刊〈大阪本社版〉)●「日雇い労働者の町」と呼ばれる大阪・西成。生活保護受給率は、23%にのぼる。でも、しんどくたって、今日も元気に子どもは遊ぶ。この町の個性的な支援者5人へのインタビューが描く、誰も取り残さない支援の地図!
目次
はじめに――西成の子どもたち
序章 生活困難地域での子ども支援
第1章 子どもたちがつくる場所――「こどもの里」の荘保共子さん
第2章 すき間を見つける視線――「わかくさ保育園」の西野伸一さん
第3章 見守りの同心円――「にしなり☆こども食堂」の川辺康子さん
第4章 はざまに入って一緒に行動する――アウトリーチと居場所をつなぐスッチさん
第5章 SOSのケイパビリティ――助産師ひろえさんの母子訪問
終章 社会を小さなすき間からつくる
おわりに――土地の名
初出一覧
注
文献
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
47
思考・こころがフル回転しながら読んだ。自分の住む地域に関わりが広がり3年目。ここでは子どもたちがテーマの大きなウエイトを占めているが、そこに留まらないものがある。子どもたちがいるということは、そのご家族なども関連する。そこに関わる者として、動くことから始めるということ。自分は知らないことが多いという視点。発信し続けることで、人のネットワークが広がるということ。うまく表現できんないが、謙虚さと、ある意味でのおおらかさを持つことだと思う。2025/02/01
くまさん
22
本書の方法論は「現象に巻き込まれたうえで、現象を現場の視点から言語化する〈現象学的媒介者〉になること」だという。インタビューの詳細な分析は、語り手とその実践をひとつの風景写真のように描き取っていく。西成北部で子ども支援、子育て支援を続けている方々の、「ニーズの範囲が仕事の範囲」という仕事観、子どもたちの声にどこまでも耳を傾けようとする姿、この地域で積み重ねられてきた福祉に心が揺さぶられる。居場所とは何か。見えにくいSOSに応答するとはどういうことか。きめ細かな配慮の行き届いた文章から多くのことを学ぶ。2021/05/07
ちや
12
こういうスポットライトを当てる研究は大事なんだろうな2021/06/24
ポカホンタス
10
今日が発売日。子どもの本の発売日が子どもの日というのも洒落ている。内容は圧巻。西成の子育て支援の様子が、個性的な支援者5人へのインタビューからありありと浮かび上がる。貧困、虐待などさまざまな困難の中を生き抜こうとする子どもたちと、支援する人々の息遣いが聞こえる。現象学の部分は少しとっつきにくいが、いくつかの大胆な解釈によって、それぞれの部分が奥行きを持って見えてくる。多くの著書を持つ著者だが、これが今のところ最高傑作ではないだろうか。2021/05/05
エドバーグ
6
上から目線は一切ないのが、稀有だと思いました。子供たちが、困っている本質に導いてくれる とは!! 大阪の西成で働く人々の肉声と著者が抽象化して普遍的な言葉に訳しているバランスが素晴らしいと思いました。2023/09/18
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