インディゴ

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インディゴ

  • ISBN:9784336070890

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内容説明

オーストリア・シュタイアーマルク州北部に、ヘリアナウという全寮制の学校がある。インディゴ症候群を患う子供たちのための学園だ。この子供たちに接近するものはみな、吐き気、めまい、ひどい頭痛に襲われることになる。新米の数学教師クレメンス・ゼッツはこの学園で教鞭をとるうちに、奇妙な事象に気づく。独特の仮装をした子供たちが次々と、車でどこかに連れ去られていくのだ。ゼッツはこの謎を探りはじめるが、進展のないまますぐに解雇されてしまう。その15年後、新聞はセンセーショナルな刑事裁判を報じる。動物虐待者を残虐な方法で殺害した容疑で逮捕されていた元数学教師が、釈放されたというのだ。その新聞記事を目にした画家のロベルト・テッツェルはかつての教え子として、ゼッツが手を染めたかもしれない犯罪の真相を追いかけていく──軽快な語り口と不気味さが全篇を覆い、独特な仕掛けがさまざまな読みを可能にする。既存の小説の枠組みを破壊して新しい文学の創造を目指した、神童クレメンス・J・ゼッツの野心溢れる傑作長篇。

◆円城塔氏
ナイフのような思考回路に指を滑らせていく
これは人が読んでよい類いの書物であるのか

◆山本貴光氏
私はなにを読んでいるのか?
デジタルゲームで遊ぶときのように、
つぎつぎと現れる多様な断片の組み合わせから、名状しがたい意識が創発する
これは、近づく者を狂わせる複合現実小説(Mixed Reality Fiction)だ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南雲吾朗

65
想像もできない世界が広がる。活字を追っていると、知らぬ間に向こうの世界に来てしまっている。永遠に悪夢を見ているような感覚。しかし、とにかく面白い。読み始めは途中まで読んでは、また頭に戻って読み返すという作業を何度も繰り返したが、中盤あたりからこの小説の世界観がつかめてきて…もう本から離れられなかった。少しmental illnessの傾向がある人とは世界の捉え方が違うのだなという事を再確認した。巻末のホワイトノイズがなかなか意味深くて好みである。とても興味深い世界を体験できた本であった。すごく良かった。2021/08/07

ヘラジカ

64
あまりに物々しい帯の文言に怯みつつ手に取ったが、前半は意外と”普通”に読めてしまう。しかし、この本の驚異が姿を見せ始めるのは中盤を過ぎたあたりである。「既存の小説の枠組みを破壊」との言葉に偽りなし。そのアプローチには、ピンチョンは勿論、ソローキンやペレーヴィン等、ポストモダン作家を多く思い浮かべたが、この作者もそれら巨匠に匹敵する怪物なのは間違い無いだろう。これまた脳みそが痺れるような面白さ!文学の無重力を堪能した。インタラクティブゲームか、成る程……。規格外の怪作だが訳注も親切で読み心地は大変良かった。2021/06/07

星落秋風五丈原

21
作品中に作家登場。但し全くの別人。2021/06/30

田氏

19
読んでいる本に固有名詞やトリビアが出てくると直ちに検索してしまって全然読み進まない症候群を患っている自覚がある。しかし今回はそうすることが作品の目論見どおりだったらしい。「嘘を真実に思わせるには真実を混ぜろ」を地で行く、事実も創作もないまぜの五百数十ページ。おそらく全国の本棚で奇書カテゴリに並べられているだろう、絶対に読後感のスッキリしない、投げっぱなしジャーマンスープレックス文学である。受け身をとりそこねて首を痛め、頭痛とめまいに苛まれながら「インディゴ クレメンス・ゼッツ 考察」でググるまでがセット。2021/10/30

そふぃあ

18
居るだけで周りの人を患わせる子供たち。彼らを集めた学園。失踪。魅力的な謎と不穏な空気が気になり読み進めるが、だんだん雲行きが怪しくなる。一度通して読むだけでは何が起こったか読み解くのは難しい。殆どの人には理解に至るためのピースが足りていないはず。作品の性質上スマホなどを使って情報を照会しながら読むことになる。しかし虚実入り乱れているため、どこかの時点で半ば思考停止に陥る。この物語で起こったことは何か?テクストから飛び出ようとするものは何か?...考察をネットに残してくれる人たちがいて本当によかった。 2023/10/21

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