内容説明
ますます緊張を高める米中関係。「習近平は、完全に全方位敵対路線に入った」と著者は語る。
「最後の皇帝」習近平は何を目指すのか?
・習近平は毛沢東以来の「皇帝」となった
・最新の外交戦略「チャイナ4.0」は最悪の選択だ
・アメリカvs中国を超えた、「世界」vs中国の対立
・仏英独がフリゲート艦、空母を派遣する理由
・ジャック・マーはなぜ「罰」を受けたのか?
・アメリカ真の敵はスパイ国家としての中国
・本当は役に立たない「世界最大の中国海軍」
・オーストラリア、EU、日本、インドが習近平をつまずかせる
・台湾有事、日本はスウェーデンに学べ ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
75
アメリカの軍事戦略研究者に訳者がインタビューしたり講演録を訳したりしたもの。習近平の「皇帝化」という見立てについては同様に感じていたので、それ自体は違和感がなかったが、日本の憲法をほぼ無視した書き具合は、著者のアメリカ的感覚だけでなく、訳者の意図も感じる。また本書では中国については半分で、残りは戦略の逆説的理論と軍事技術革新のこれもある種の逆説で、こちらは頷ける点も多く面白かった。が、やはり訳者の意図を感じさせられるところも。無差別戦略爆撃について、ゲルニカから語り始めるが、重慶爆撃には触れられていない。2021/07/22
Miyoshi Hirotaka
43
中国に関しては二つの視点がある。一つは毛沢東以降の戦略変更とその選択ミスに焦点を当てたもの。もう一つは、『チャイナ2049』のように支那という領域での周辺国を巻き込んだ群雄割拠後は共産党の長期戦略に基づく拡大とするもの。前者だとポスト毛沢東の指導者は戦略下手、後者だと党組織は戦略巧者という真逆の結論になる。本書の題名は習近平の戦略の稚拙さに焦点をあてた。一方、組織の後進性や硬直性を内包したままの規模拡大の継続も限界。どの視点からでも崩壊するのは遠くない。わが国はそれを見据えて備えを固めるべき時に来ている。2025/03/30
kawa
41
「『大国』になるほど弱くなる。中国がはまった戦略のバドラックス」と中国の戦狼外交の破たんを予言する書。あまりにも主張がクリアーで、却って「ほんとかよ?」とも思ってしまう解りやすさ。ちなみに訳者あとがきで、著者と関係ありで結論が正反対のベスト・セラー「china2049」が紹介されている。機関銃や飛行機が、当初受け入れられなかった等の軍事イノベーションの歴史に関する部分も面白い。 2021/08/14
belalugosi6997
37
我々は中国を必要以上に恐れているようだ。このままであれば恐るに足らない。もちろん油断は禁物だが少なくとも弱点がないわけではない。 大国は小国に勝てない。世の中が小国のために支援する。これはウクライナ戦争でも立証済みだ。中国が大国であり続けようとする限り、戦略の論理を理解することはできない。中国の陥ってる戦略的パラドックスであるつまり天下100年の計は間違いであるというのが結論である。次世代の有益な兵器としてドローンと AI 。何と海警局の「体当たり戦術」。爆撃は武器庫・基地局等の連絡網で十分。ベスト著書2022/04/27
金吾
30
○パラドックスの話は分かりやすくかつ面白かったです。また軍隊の新規技術や考えへの排他性は興味深い話でした。2024/03/18