トロイア戦争:歴史・文学・考古学

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トロイア戦争:歴史・文学・考古学

  • ISBN:9784560098257

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内容説明

3000年以上前の戦いの真相を求めて

はるか昔、トロイア戦争の伝説を生み出した紛争があったのだろうか? あったとすれば、いつ、どこで? 古代ギリシア人・ローマ人はこの戦いを事実と信じたが、中世から近世にいたる学者たちはより懐疑的で、叙事詩が歴史的事実に基づいていた可能性が本格的に注目されたのは、1870年代のシュリーマンによる発掘以降のことだった。以来、多くの発見がなされたが、謎はいまだに残る。
本書は、トロイア戦争に関連する三つの分野の研究成果――ホメロス叙事詩と「叙事詩の環」などの文学資料、ヒッタイト文書という歴史学資料、ヒサルルック遺跡からの考古学資料――を渉猟し、多角的・総合的に検証する。叙事詩が語る戦いの細部は、青銅器時代つまりトロイア戦争が起こったとされる時代のものか、鉄器時代つまりホメロスの時代のものか。トロイアの支配者たちはヒッタイト文書にどのように記録されているか。巻末に、ヒッタイト文書の内容紹介、シュリーマン以前のトロイア発掘の試み、現在なお残る謎・問題点をまとめた、訳者による解説を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hal

15
トロイア戦争に関して、文字による証拠と考古学的証拠を初心者向けに解説している。内容は極めて興味深い。しかしながら、本文のあと、かなり長文の本書の内容に関する訳者の講義があり、さらに訳者あとがきに、著者と訳者の認識の違いがある部分は、明示せず訳者の自説に変更したとある。著者の許可は得ているとはあるが、たとえ訳者が日本国内で有名な人物であっても、ここまで訳者が出しゃばる訳書を私は始めて見たし、これは純粋に著者の作品と言えるのか疑問に感じる。2021/04/06

月をみるもの

12
ハットゥシャみたいな遺跡を発掘したら粘土板が出てきたとしよう。その粘土板の記述についての研究は、考古学なのか文献史学なのか、どっちなの??2021/05/16

スプリント

8
子供の頃植え付けられたシュリーマンのイメージが大きく覆された。2022/09/04

Oltmk

4
本書とフェイガンの「若い読者のための考古学史」を同時に読んでいたが、シュリーマンの扱いに関してはフェイガンの著者では考古学が未発達の時代の産物のような扱いに対して、本書ではシュリーマンの詐欺師じみた姿勢や発掘の姿勢などに対して著者が手厳しく批判しているのが興味深い。イーリアスの出来事の元になったトロイア戦争がいつ行わていたのかなどの研究を巡る論争が学者同士の一大喧嘩に終わったというのも笑えたし、トロイア戦争の歴史・学説などを初心者向けに知りたいなら本書がお勧めできる。2021/04/27

Fumitaka

3
シュリーマンがとんでもない詐欺師でビックリした。一応根性で英語wikiの「ホメロス問題」とか「ホメロス神話の歴史性」とか目を通してウィルサやらアラクサンドゥやらは知ってはいたんですが改めて俯瞰して、叙事詩環とかも含めて包括的に解説していただける非常に有益な本でした。たとえば最初の最初ですがあの地名が「ヒサルルック」と読むのは初めて知った。ヒッタイト側の碑文は示唆的ですが文中でも書かれてる通り証明できないので、これは永遠に答えが出ないかもしれませんね。軽快な訳と解説を添えて下さった西村賀子先生に感謝します。2021/05/23

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