ベケット氏の最期の時間

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ベケット氏の最期の時間

  • 著者名:マイリスベスリー【著】/堀切克洋【訳】
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • 早川書房(2021/07発売)
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  • ポイント 780pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784152100375

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内容説明

パリにある引退者が暮らす施設「ティエル=タン」。静寂の中、記憶をたゆたいつつ最期を待つ一人の老人がいた――ジェイムズ・ジョイスとの友情などを交えながら描かれるノーベル賞作家サミュエル・ベケット最期の特別な日々。フランス文学界新鋭の話題作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

83
とっくに過ぎている延長済みの貸し出し期間に追われ、なんとか読み終える。戯曲家ベケットの最期の日々、老人ホームでの生活を描く小説。ベケット作品や半生に詳しければなお楽しめたのだろう。唯一の映画脚本の映画「フィルム」のシーンもある。映画は未見。どこかで見たいものだが。独白や過去のエピソードの数々と、彼を見守る看護師などの記述がある。悟りきった部分と後悔の入り混じった寂寥感が漂う。「昔はあれほど犬のような孤独に憧れていたというのに。狼のような孤独に。」2021/10/06

アキ

81
ノーベル賞作家サミュエル・ベケットが1989年12月22日83歳で亡くなるまで、同年7月25日からの高齢者養護施設で過ごした最期の日々。著者のマイリス・ベスリーはフランスのラジオドキュメンタリーのプロデューサーだった。本書がデビュー作でゴングール賞新人賞受賞。パリでジェイムズ・ジョイスと過ごし、1938年にパリの通りで刺された事件、先に逝った妻シュザンヌ、戯曲ゴドーを待ちながらのことなど、終末に向かいながら取り留めもなく思い出している物語。未だ作品を読んだ事のない作家だが、有名な戯曲から読んで見ようかな。2021/08/08

ケイトKATE

31
20世紀を代表する劇作家で小説家サミュエル・ベケットの亡くなるまでの半年を描いた“小説”。個人的に印象に残ったのが、物語が7月から始まっているにもかかわらず、秋のような涼しさが全編に漂っているのと、老いを受け入れ淡々と人生の終わりを待っているベケットの姿である。老いについて、私を含めて誰もが嘆き、嫌悪し、否定してしまいがちだが、ベケットのように老いを受け入れることこそ、人生の最期をより良く迎えるために大事なことでないかと感じた。2021/07/24

Bartleby

13
妻のシュザンヌが亡くなった1989年7月17日のおよそ1週間後から本作は始まる。原題のLe Tiers temps(第3の時)というのは、障碍を持った人のために試験時間を延長できる制度のこと。これは良いタイトル。人生の“おまけ”ということか。いわばこの「虚実の皮膜」を流れる時間のなかで、ベケットは最晩年を生きる。ベケットの声だけでなく、いろんな声とざわめきに満ちた小説。看護師の看護記録、医師の呼び声、心理カウンセラーの報告、サッカーの実況中継、隣室の老人の叫び、ジョイスとその娘の声。しだいにベケットの声…2023/04/30

すーぱーじゅげむ

10
老人施設に入った作家サミュエル・ベケット(ノーベル賞)の一人称で語られる最期の日々、若い作家によるフィクションです。ベケットのひととなり・作品は知らないのですが、とても素敵でした。彼の頭の中が豊かで、ユーモアに満ちていて、人生への洞察は深く、情けなくも人間らしく、なんか可愛い、と思いました。介護職員には全然それが伝わっていないのもお約束です。老人ってやっぱり、しょうもないことやっていても、天才なのかもしれない。2023/05/11

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