内容説明
桜祭りの帰りに見た宙に浮く柔らかな光、川で投網を打つ人を襲った足元の砂の奇妙な動き、山道で「おおい、おおい」と呼びかけてくる声、憑物を籠めているという壺の秘密……不思議でどこか懐かしい短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
36
シリーズ3冊目。遠い昔の思い出がまわりの記憶と一致しない神隠し、大雨の中、少しもぬれてない少年と白い犬など、定型的な話は妙に安心感があります。この巻の一番のお気に入りは「おいぬ好かれ」。ふと思い立って訪れた山間の神社で、何も見えないのに足に何かが掠める感触。思い出せば、立ち寄った茶店でお振る舞いを受けた時も同じような感触があり、境内にいた神職?の方が話してくれた状況は…。イヌ派のワッピーにはナンとも羨ましい状況です。あるいは、空から落ちてきたトビの死骸に驚いて空を見上げると…「空の境界」もお気に入り。2025/11/03
ちょん
22
第3弾から読んでしまいましたが、たぶん順番関係ないでしょ✨(笑)日本ならではの感覚溢れる素敵なお話たち。怖さと不思議と神秘がすぐ隣にある生活、「山のおばあちゃんの家」というイメージって今はもう難しいのかな。幸いにも私は和歌山に母方の実家があり、里山どころか山奥奇談に溢れた経験ができましたが、今思うとすごく貴重な体験だったなぁ。2021/08/13
流石全次郎
11
シリーズ角川文庫3冊目。前作よりも引き込まれました。奇談には起承転結、あるいは序破急はなくても十分伝わる話があると思います、そんな話もちらほらあったのが良かったと感じました。ただ、各章の著者が誰なのかはわからず仕舞いなのは前作同様、少し残念。2021/09/17
タカボー
9
シリーズ最終巻?このシリーズ好きだから読み終わりたくなかった。ひとつの命は儚いけど、何代も受け継がれていく目には映らないもの達。日本に生まれて良かったと思える繊細で美しい物語の数々。優しすぎるホラー。神様のような視点で大らかな気持ちで全ての生き物たちの営みを見守ってるみたいな。日常の全ては小さなもので、死は恐れるものでなくただの順番待ちで、部屋を飛んでる蚊さえも慈しみたくなるような。まあ叩くけど。2023/08/22
海星梨
9
3作目の里山奇談もKUに登場ですよー! 他の怪談系とは違って、独特の描写的な文体で1作目はあまり楽しめなかったけど、今作は私も慣れてきて作家も馴染んできたのか安定してきたのが大きいか。最近、地衣類にハマったけど、何屋になるんだろう。苔は苔屋だろうけど、地衣類屋はなんかへん。キノコ屋はまだ語感いいけど、菌屋はなんか、なんかさ……。2022/07/25




