内容説明
現代川柳は《現在》の破片である──。川柳の伝統を批判的に受け継ぐ現代川柳作家による480句。
現代川柳は《現在》の破片である──。
川柳の伝統を批判的に受け継ぐ現代川柳作家による480句。
『はじめまして現代川柳』でも注目された著者の待望の第一句集。
【収録句】
マグカップで壊せるような朝じゃない
そら耳のつづきを散っていくガラス
最初が運、途中は夢でいいですね
ガラス屋の軽トラの荷台のデュシャン
君が袖ふる愛をガシガシ消すために
足もとはNIKE行き交う年もまた
ヒロシマにダーツふわっと散る光
神よ神よ砂ずりがまだ来てませんね
漱石のちょっと発熱ちょっと死後
【著者】
湊圭伍
1973年大阪生まれ。愛媛県松山市在住。2009年より「川柳バックストローク」に投句、2010年(第30号)より同人。同時期より「川柳結社ふらすこてん」に投句。以降、「川柳カード」「川柳スパイラル」「せんりゅうぐるーぷGOKEN」同人。小池正博編著『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房、2020年)に、湊圭史名義で自選76句掲載。詩誌「Lyric Jungle」同人。詩集に『硝子の眼、布の皮膚』(草原詩社、2004年)。
目次
1 イカロスの罠
2 ヘルタースケルター
3 仮設の家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
35
湊圭伍の川柳句集。これもぶっ飛んでいる。一般受けしない川柳、ちっとも耳触りの良くない「空耳」の句ばかり(←褒めている)。「きみも勿論だがむしろ枕がよく戦った」戦った相手は悪夢か?侵入者か?枕を楯にしたことは確か。「うれしそうな顔をしている蛆だなあ」川柳でも俳句でもウジ虫を詠んだ句は初めて見た。「まだ淋しくないと救急車の遠吠え」ずっと消防署で待機している救急車か?コロナのせいで近ごろは、遠吠えしてるヒマはないよ。「金メダル噛むとかならず白目剝く」ふむふむ。反対を押し切るであろうオリンピックの表彰台が楽しみ。2021/06/14
秤
0
背のかゆみつばさと呼べば翼とも│風もなく火もないところにも会釈│世界じゅうの少年兵に会いにゆく│声色に混じる砂礫やら閃光やら│きみの死をぜんぶ説明してあげる│それぞれの秘孔を突いて別れゆく│哀しかったな木炭で描いた花│天井に並んで生える歯がきれい│いきなり降ってくる金と銀の斧│裏通りの鳩は平らになりなさい│微笑みをかるくてうすい被膜として│最前列の誰かを殴るための椅子│2025/01/19
Noy
0
わかる句もわからない句もあった。2024/10/03
滑車
0
荒唐無稽だけど落ち着きのある感覚。2022/03/21