内容説明
推しアイドルとの疑似カップル生活！？
“完全無欠”のアイドル瀬在麗。
『彼氏発覚』『嫌がらせ不祥事』など、推したアイドルがことごとく引退していった僕の、最後の希望が、麗だ。
彼女が、僕の推す最後のアイドル。そう決めていた。
女性恐怖症を患い、女性と物理的距離が近づくと身体に不調が出てしまう僕が、勇気を出して参加した麗の『握手会』。
しどろもどろになりながら言葉と握手を交わしたその夜に、麗は何故か、僕の家に押しかけてくる。
「君さ、あたしの彼氏になってくんない？」
麗のその言葉から、僕の日常は急変した。
ステージの上に立つ麗しか見たことのなかった僕に次々と開帳されてゆく彼女の『オフ』の姿。
そして、麗が僕に近づいてきたことにも、「恋人になる」のとは別の目的があり……。
ただ憧れていただけのアイドルと共に過ごすことで、そのまばゆい輝きと、その下にぽっかりと口を開いた“深淵”を見つめることとなる。
女性を恐れながら、同時に憧れる僕。そして、アイドルとして輝きながら、どこか破滅に向かっているように見える麗。
二人の“恋人ごっこ”が向かう先にあるものとは。
“アイドル”を巡る、新たなる闘いの物語。
※「ガ報」付き！
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
55
推したアイドルがことごとく引退していった沖田優羽の最後の希望、完全無欠のアイドル瀬在麗。自分が推す最後のアイドルと決めていた彼女から、彼氏になるよう依頼される青春小説。女性恐怖症を患う優羽が勇気を出して参加した麗の握手会。その夜に優羽の家に押しかけてきた麗の事情。急変してゆく日常の中で、アイドルの麗しか知らなかった優羽が知ってゆく彼女の素顔。目的に向かって突き進むどこか危うい彼女のありように振り回されながらも、彼女のために自分はどうすべきか、考えに考え抜いた選択とその結末にはぐっと来るものがありましたね。2021/07/21
ゆなほし
39
推しに｢恋人になってほしい｣と頼まれる…甘い夢想が現実に起こったとしたら、そしてそれが推しのアイドル人生を賭けた大勝負なのだと知ったら…。アイドルというテーマで描かれる作品としては異例な程、リアリズムな作品だ。完全無欠のアイドル瀬在麗のアイドルらしからぬキャラクター設定も、キラキラしたステージの裏側の世界も、麗の真の目的も、ライトノベルにありがちなご都合主義を超えて、本物のアイドルとは何かを教えてくれる。間違ってもこれはラブコメでは無く、瀬在麗の闘いの物語だ。そうやって闘うきみは本当に僕の天使なのか。2021/09/19
日坂愛衣
35
まさかそんな正統なアイドル業界の”裏物語”が出るを思わなかった、元アイドルオタクとしてすごく親切感が湧いてくる。表の麗はみんなに夢を見せるの完全無欠のアイドル、そして裏の麗はそんなめんどくさい地雷女。かつての仲間のために彼女が最高のパートナーたちと業界の”闇”に立ち向かう、そして自分の力で勝ち取る、本当に熱い話。もちろんアイドル物語以外、地雷女の麗と女性恐怖症の優羽の掛け合いや他の十人十色のキャラ達も面白い。話がやや簡単だけと、そんなまっすぐな話が嫌いじゃない。2021/07/21
しぇん
34
しめさば先生は初読み。アイドルであれ何であれ信じることって大変だなと。主人公の信念は恐ろしいレベルでしたが。あと、題材は結構暗めなのですがあっさりめに読めたのはそこらへんも関係してるのかもですね。何か色々伏線だけ投げられてるのが気になるので続きでますかね2021/08/14
わたー
33
★★★★★前作同様、物議を醸しそうなテーマではあるものの、青春小説として非常に高いクオリティで面白かった。主人公の推しで、完全無欠のアイドルと呼ばれるヒロインが、主人公のアパートへ突撃し交際を迫るところから始まる物語。バレたら彼女の汚点となってしまう行為を何故、彼女が実行したのかから繋がる、アイドルを食い物にする業界の闇はエグみが強かったが、それだけに真に迫っていてよかった。また、彼女の決断に対し、アイドルファンとしてどうするべきか考え抜いた末の選択も、彼らしいものになっていたのが印象的。2021/07/23
