岩波新書<br> 労働組合とは何か

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岩波新書
労働組合とは何か

  • 著者名:木下武男
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 岩波書店(2021/07発売)
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  • ISBN:9784004318729

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内容説明

日本では「古臭い」「役に立たない」といわれる労働組合.しかし世界を見渡せば,労働組合が現在進行形で世界を変えようとしている.この違いの原因は,日本に「本当の労働組合」が存在しないことによる.社会を創る力を備えた労働組合とはどのようなものなのか.第一人者がその歴史と機能を解説する.

目次

はじめに┴第一章 歴史編1 ルーツを探る 「本当の労働組合」の源流は中世ギルドにある┴1 労働組合の遠祖・ギルドの原理┴2 中世市民社会と日本でのその不在┴3 職人組合から労働組合へ┴第二章 歴史編2 「団結せよ、そして勤勉であれ」 職業別労働組合の時代┴1 近代市民社会の形成と論理┴2 初期労働組合の形成┴3 産業革命と労働者の階級形成┴4 職業別労働組合の確立┴第三章 分析編1 労働組合の機能と方法┴1 労働組合とは何か┴2 労働組合と政党┴第四章 歴史編3 よるべなき労働者たち 一般労働組合の時代┴1 新労働組合運動(ニュー・ユニオニズム)の台頭┴2 一般労働組合の基盤と組合政策┴3 労働組合の形態転換と労働政治┴第五章 歴史編4 アメリカの経験 産業別労働組合への道┴1 労働運動の二つの潮流┴2 職業別組合の限界と産業別組合の挫折┴3 労働者の企業別分断と産業別組合の対抗┴第六章 分析編2 いかにして社会を変えるのか ユニオニズムの機能┴1 産業化の新しい段階と産業別労働組合┴2 労働組合機能の発展┴3 産業別組合組織と産業別統一闘争┴第七章 歴史編5 日本の企業別労働組合 日本的労使関係の形成・衰退┴1 戦前第一期 「渡り職工」と横断的労働市場┴2 戦前第二期 戦前期労働運動の高揚と弾圧┴3 戦前第三期 日本的労使関係の戦前期形成┴4 戦後第一期 労働運動の高揚と日本的労使関係の形成(一九四五~六〇年)┴5 戦後第二期 企業主義的統合と労使協調の労働組合(一九六〇~七五年)┴6 戦後第三期 労働戦線統一と総評解散(一九七五~九〇年)┴7 戦後第四期 戦後労働運動の危機とユニオニズムの創造(一九九〇年~)┴第八章 分析編3 日本でユニオニズムを創れるのか┴1 時代の転換と働く者の悲惨 雇用不安、貧困、過酷な労働┴2 日本における産業別労働組合の登場┴3 ユニオニズムの主役はどこにいるのか┴4 ユニオニズムの創り方┴あとがき┴参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

23
日本の労働組合が企業別労働組合であり、年功賃金と終身雇用を前提としたものであるが故に、それが崩れた後の現在の労働者を守ることができていない、そのためには労働組合とはどのようにあるべきか。結論は職種別の労組をつくるべきであるとするが、そもそもの労組のあり方を中世のギルドにまで遡っていて、興味深い。また、マルクスが「労働組合が政治団体に従属するならな、労働組合に致命的な打撃を与える」(p.175)と予言していたことが日本で何度も起こっている点など、きちんと受け止めなければならないことも多い。2021/05/07

Masakazu Fujino

15
労働組合に加入し、活動してきた者として、考えさせられること、なるほどと思うことが多かった。やはり、新自由主義によって、労働環境は19世紀の労働現場と同じ状況になっているという著者の指摘は正しいと思う。新自由主義と闘う、ユニオニズムに基づく運動にどう関わっていけるか、試みたい。2021/07/27

ヤギ郎

13
労働者が団結をして労働組合をつくることについて、歴史的な背景を参照しながら、現代のユニオニズムについて考察する。そして、日本における労働組合のあり方についての考えを示す。日本の労働市場は、年功賃金と終身雇用があったから労働組合が育たなかったものの、今後は労働組合の必要性が求められるだろう。マルクスは労働組合が政治団体となることを否定した。日本における労働組合と政治団体(政党)の関係が興味深い。2021/07/03

さとうしん

13
西欧での労働組合の起こり、日本での状況など、労働組合の歴史的な起源から語り起こし、日本でユニオニズムが根付かず企業別組合となってしまった歴史的な経緯を詳述。凡百の論者なら「だから日本でユニオニズムは無理なのだ」と結論づけられるだろうが、本書は企業別組合とセットになるべき年功序列が崩壊した今こそユニオニズムを創る好機なのだと言う。日本での成功例として関西の生コン業界を取り上げているのが面白い。2021/04/14

浅香山三郎

11
労働組合の再生について、歴史と現状分析をつうじて論じてゐる。中世のギルドからの系譜が本来の労働組合の伝統のなかにあるといふ視点など、日本とのちがひがよくわかる。ユニオニズムが日本の労働組合にはない、といふのもよく分かるし、政党の利害に引きづられた日本の労働運動史の弊害といふのもよくわかるが、日本におゐてさういふものを作り上げる道程は果てし無く遠いといふ印象をもつた。2022/02/28

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