内容説明
バラードは、ホームレス男性の焼死事件の現場に出向いていた。テントに暮らしていたエディことエディスン・バンクス・ジュニアが、大量のアルコールを摂取して寝ているうちに、うっかり石油ヒーターを倒して、その火が全身に移り、焼死した模様だった。事故死とみて、バラードはロス市消防署に処理を任せた。一方、元服役囚ジョン・ヒルトン殺害事件、担当刑事の捜査における不作為がおかしいことにバラードは気づく。現場を縄張りにしていたギャング団のストリート・ボス、エルヴィン・キッドに聴取していないし、現場周辺の売人のひとり、ディナード・ドーシーは麻薬取締課の情報屋だったため、取締課からのドーシーはなにも知らないという連絡だけで追跡捜査をしていないなど。また、なぜ担当ではないトンプスンが殺人事件調書を盗んだのかも疑問だった。事件を解決するためではなく、解決させないために盗んだのか、とボッシュとバラードは疑問を抱く。やがてキッドとヒルトンが、同時期に刑務所に収監されていたことが判明する。絵が得意だったヒルトンが残した獄中でキッドを描いた絵から、ふたりが恋人同士であった可能性が浮かぶ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
153
作者はボッシュが齢70近くになってなお、この男に新たな危難を設ける。その原因こそは『死角 オーバールック』で彼が扱った事件だった。2007年刊行の事件が2019年の作品に影響を及ぼす。これがシリーズを、いやコナリー作品を読む所以なのだ。それはシリーズを永らく読んできた読者だけが得られる特権意識なんかではなく、シリーズを共に歩んできたからこそ得られる愉悦なのだ。そう、我々がボッシュの歩んできた半生を共に体験していることを実感させられるこの瞬間こそが読者としての報いであり、そして何事にも代えがたい黄金なのだ。2022/07/21
パトラッシュ
131
(承前)複雑に絡み合った三つの事件がきれいに収束し、伏線もすべて回収され一気に劇的なラストへ流れ込む。30年近くボッシュの捜査劇に付き合ってきたが、いまだマンネリ感なく描き続ける作者の筆力には感嘆するしかない。これまでバラードはボッシュの助言を受けて捜査する立場だったが、本書で完全に後継者としての立ち位置を確立した。最後は再び一緒に捜査する予告になっているが、白血病もあり残りは少ないかもしれない。娘マディは司法方面に進むようだし、将来は検事か弁護士のマディと刑事バラードのバディでシリーズが続く予感がする。2021/08/18
ケイ
129
やはりボッシュが絡むといいわね。たまに吹き出しちゃう可愛さも健在😉 自身の問題がどうなるか気になるし、この後も続くようだし楽しみだ。情報化社会、IDは色んなことのかなめだな。私も気をつけよ。2021/12/08
KAZOO
112
ボッシュとバラードとハラ―のそろい踏みで三つの事件を解決していきます。ボッシュが最初の頃に刑事の基本を教わった恩師が死んでそこに未解決事件のファイルが残されています。一方、ハラ―が裁判で弁護した人物が無罪となり、その後真犯人を突き止めるべく捜査します。バラードは火事で事故死したと思われる事件についておかしな点を見つけそれを追います。これをボッシュとバラードの観点から語っていきます。やはりボッシュは警察をやめたためにバラードと組み合わせないとこの話も続かないと思ったのだという気がします。2022/09/19
のぶ
110
上巻の感想でボッシュとバラードの共演と書いたが、下巻に入り、実際はバラードの活躍が圧倒的に多く、ボッシュは控えに回っている印象が強かった。物語は複雑に絡み合った三つの事件が収束しラストを迎える。バラードは、ホームレス男性の焼死事件の捜査は事故死とみて消防署に処理を任せた。一方、元服役囚ジョン・ヒルトン殺害事件、担当刑事の捜査における不作為がおかしいことにバラードは気づく。他にもいくつかの疑問が残されていたが、解決に至った。ボッシュは本作で69歳。この先シリーズをどう持っていくのだろうか気になる。2021/08/20
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