内容説明
「この本は答えを出す本ではありません。旨いやりかたや世渡りの技術を伝授する本でもありません。ぼくと同じように、夜と朝との狭間に、ひたすら自分との対話を繰り返すような人への、目くばせの合図のようなものです」(「開幕のベルにかえて」より)。自殺の問題、生きる意味について、病苦、老い、死への不安、将来や人間関係の悩み......読者の手紙にこたえるかたちで書かれた新しい人生相談形式のエッセイ。命がよみがえる、生きる羅針盤。新装版で復活!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつ
4
「夜の梅」という有名な羊羹があるけれども、その古今和歌集に由来する小粋な名付けが私はとても気に入っていて、この本はまるで「夜の梅」のようだと思った。 暗闇のなかで茫漠として、はっきりとした明瞭な答えは見えないのに、どこからかそこはかとなく良い香りがして、それが夜の道しるべとなる。 ただ、本書の内容は羊羹のように甘くはない。 そして、五木さんは3ヶ月も頭を洗わなかったりするらしいので、実際そんなに良い匂いはしないはず。2025/06/03
Muromi
4
20年以上前の話だけど、現在にも通ずるところが沢山あった。自分も含めて、みんなの夜がちゃんと明けますように。2023/05/24
aries
4
私は暗い。馬鹿笑いして騒ぐのも好きだけど基本的にはふとした時、あるいは日によっては常時陰鬱な気分になる。それでも人から明るさを求められると無理に笑ってみせたり、ふざけてみせたりして自分がピエロのように思える事がある。ただここ数年は自分は自分で良いのだと思えるようになって徐々に自分本来の性格のまま振る舞って周囲に驚かれる。この本を読んで、やっぱり今後も私はこのスタンスでいこうと思えた。悲しい時は悲しみに浸って、可笑しい時は思い切り笑う。人生はいつも残酷だが私は自分の心の大事な部分は守り抜くぞ。2022/01/23
のいじぃ
2
読了。ラジオ番組を文章に起こした人生相談、及び人生観。開戦から終戦、復興にかけての経験はご本人にしか分からない。けれど述べられていることには共感するものがあり、屁理屈ばかりの乾いた現代までの変遷も頷けることが多々。ただ、歌に関してもだけれど、そこに至るまでには散々メディアが国民を振りまわしていたのをネットが普及することで、その裏側ややり口を共有しやすいようになった結果とも。本にしても五木さんのように作家の使命を考えるよりも出版社が使い捨てのライターと同じ題材を使い回し粗製とまではいかなくても濫造している。2024/11/30
い
1
私たちは「夜明けを待ちながら」ただ黙々と歩き続ける旅人のようなものかもしれないのだ。夜には夜の生き方がある。深夜には〈深夜の友がいる〉。 ラジオで聞いた五木寛之氏の声が文字を通して聞こえてくる。2023/12/21
-
- 電子書籍
- ビジネスパーソン&スポーツパーソン 企…
-
- 電子書籍
- 『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の…