内容説明
同じ保育園に子どもを預ける作家のユカ、モデルの五月、専業主婦の涼子。先の見えない育児に疲れ切り、冷めてゆく一方の夫との関係に焦燥感を抱いた母親たちは、それぞれに追い詰められてゆくが……。子どもへの愛情と憎しみに引き裂かれる自我。身も心も蝕む疲労、そして将来への深い不安――。不倫、虐待、流産などのタブーにあえて切り込み、女性性の混沌を鮮烈に描く話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
171
『育児は楽じゃない。いい事ばかりじゃない』。そんな涼子の言葉をしみじみと感じるこの作品。そんな作品には三人の母親達が『育児』に葛藤しながら、一方で一人の女性として人生を生きていく姿が描かれていました。育児未経験の方には『育児』がとても恐ろしいもののように思えるであろうこの作品。『育児』を遠く過ぎ去った方には、がんばれ!と主人公たちに声をかけてあげたくもなるこの作品。“幼い我が子と対峙するとき、母はつねに孤独な存在だと思います”と語る金原さんの鬼気迫る筆致に、ただただ圧倒されるインパクト最大級の作品でした。2023/04/08
ゴンゾウ@新潮部
106
本の分厚さに長い間、本棚に積まれていた。読み始めると3人の母親達の世界に引きずり込まれた。育児を通して思い悩む彼女達の生々しい本音が聞こえてくる。性描写も含めあらゆるタブーも辞さない表現は潔く、力強くそしてリアルである。金原ひとみさんの描く世界は普通の読者には異次元の世界だと思う。でも主人公達に共感してしまうのは飾らない本音が描かれているからだと思う。2018/01/26
もぐたん
83
満たされない想いを抱えたまま、家事と育児をこなす母親たち。友情と軽蔑がないまぜになって、離れられない3人は、行動は違えど心の声は同じ。それはただ、自分なりに幸せになりたい、ただそれだけ。だから心で吼えている。夫に、世間の目に、常識に、そして不甲斐ない自分自身に。飲み込んできた言葉や、がむしゃらに生きる姿がリアル過ぎて、ルポルタージュを超えた真実味を感じた。それぞれに迎えた最終章は、何故か涙を誘う。それは、同じような経験をしてきた同志への心からのエールなのかもしれない。★★★☆☆2022/09/12
ykmmr (^_^)
79
同じ学年作家3人目。彼女のエキソンチック性は天性なのか?過激な性描写に、3人のマザーがそろぞれ放つグレーな面を結びつける。そう言いながら、『物語』を描くその文章は緻密かつ繊細。多分、母となった彼女の思いをそのまま書いたんだろうけど、同じ立場になった自分にはグサグサ突き刺さり…。理想論では済まされない、正解のない『子育て』の現実に共感。3人のマザーズが、誰が一番良い母親?それとも、ダメ親?その答えは永遠にない。だって、3人とも、私たちも一長一短・右往左往しているんだから。2021/10/04
まさきち
78
育児が大変なのはわかるけど、ここまでストレスになるのかとなんだか鬱々とした気分で読み終えました。特に虐待をしている場面は本当にツラかった。2022/09/11
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