ちくま新書<br> 大正史講義

個数:1
紙書籍版価格
¥1,430
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま新書
大正史講義

  • 著者名:筒井清忠【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2021/07発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074164

ファイル: /

内容説明

わずか15年間の大正時代にはロシア革命、第一次世界大戦、関東大震災など内外に大きな出来事が生じ、日本の社会も大きな変化を余儀なくされた。そしてその変化とともに大衆が登場して政治を動かし、「劇場型政治」が展開していく。この激動の昭和の原点ともいえる複雑な時代をどう見るべきか。その歴史を見るための視座を提供すべく、23名の第一線の研究者が最新の研究成果を結集。26の論点によって、大正時代を正面から描きなおす、まったく新しい大正史入門決定版。

目次

はじめに……筒井清忠
日比谷焼打ち事件と大衆の登場
大隈ブーム
朴烈怪写真事件
第1講 大正政変──第一次護憲運動……村瀬信一
用語としての「大正政変」
何が壊れたのか
なぜ壊れたのか
どう壊れたのか
異形の運動
何が残ったか
第2講 大隈内閣成立と大隈ブーム……真辺将之
シーメンス事件と山本内閣の退陣
次期内閣は誰に
大隈人気の背景──文明運動と人生一二五歳説
大隈内閣の組閣と政綱
選挙での圧勝
「言論選挙」の内実
内閣のその後と評価
第3講 第一次南京事件から対中強硬政策要求運動へ……武田知己
転換期の内と外
辛亥革命の勃発と日本外交
第二革命の勃発
中立方針の維持と国際協調・内政不干渉への変化
対外硬運動の予兆
阿部守太郎暗殺と暴動
日本は転換に適応できたのか
第4講 第一次世界大戦と対華二十一カ条要求……奈良岡聰智
第一次世界大戦と日本
日本の参戦
参戦の波紋
二十一カ条要求の策定
二十一カ条要求をめぐる外交交渉
合意内容とその後
第5講 大戦ブームと『貧乏物語』……牧野邦昭
「天祐」としての第一次世界大戦と大戦ブーム
経営者の活発な活動と「成金時代」
『貧乏物語』の衝撃
「日本の貧乏」と「貧乏な日本」
米価高騰と米騒動
昭和に持ち越された経済問題
第6講 寺内内閣と米騒動……渡辺 滋
首相就任までの履歴
組閣までの経緯
議会の状況
総選挙への対応
各種の委員会・会議の設置
政策
軍事救護令
軍事関係の施策
科学研究の体制整備
重工業の育成策
財政政策
言論統制
米騒動
総辞職へ
後継者問題
寺内と山県有朋
第7講 原敬政党内閣から普選運動へ……季武嘉也
はじめに──「デモクラシー」と「改造」
原内閣の積極政策──目標から体制へ
普選への道のり──時期尚早か、即時断行か
原内閣の選挙法改正──世界の大勢か、社会の秩序か
一九二〇年二月一一日──対決の日
おわりに──普選の受容
第8講 パリ講和会議、ヴェルサイユ条約、国際連盟……篠原初枝
パリ講和会議
国際連盟の設立
ヴェルサイユ条約
国際連盟の発足と初期の活動
日本と国際連盟
第9講 人種差別撤廃提案……廣部 泉
人種差別への懸念
日本代表動く
連盟規約第二一条廃案となる
頑ななヒューズ豪首相
日本政府の変化
前文への挿入失敗する
山東問題と人種差別撤廃提案
四月二八日の総会
振り返って
第10講 三・一独立万歳運動と朝鮮統治……永島広紀
寺内元総督の憂鬱
李太王の国葬
燎原の火
斎藤実と内務官僚たち
大正デモクラシーの申し子
寺内の「武断」と斎藤の「文化」
朝鮮重工業化への布石
李垠・方子夫妻の訪欧
第11講 シベリア出兵からソ連との国交樹立へ……麻田雅文
第一次世界大戦の一作戦として
出兵宣言と国内世論の反発
決められた進出範囲
コルチャーク政権の盛衰
アメリカ軍の撤兵
尼港事件
撤兵に代償を求めて
ウラジオストクからの撤兵
日ソ基本条約の締結と撤兵完了
第12講 日露戦争後の日米関係と石井・ランシング協定……高原秀介
国際環境の変容と日露戦争後の日米関係
満州問題をめぐる日米対立
移民問題をめぐる日米対立
「ドル外交」の展開と日米経済関係の深化
石井・ランシング協定
第13講 ワシントン会議──海軍軍縮条約と日英同盟廃棄……中谷直司
会議の概要
日本の会議準備と全権の顔ぶれ
海軍軍縮交渉の開始──ヒューズ国務長官の「爆弾演説」
海軍戦力の保有比率をめぐる日米対立と決着
四国条約の成立と日英同盟の廃棄
九国条約と中国関税条約の成立
「諮議部」の設置決議と山東問題の決着
おわりに──会議の意義をめぐる論争
第14講 新人会──エリート型社会運動の開始……古川江里子
新人会とは?──前期新人会と後期新人会
発足の経緯──国内外の変革の気運の申し子としての新人会
結成とその活動──機関誌の発行と労働組合の指導
改組と前期新人会会員のその後
後期新人会──学生団体としての再出発
ラディカルな共産主義的組織化
京都学連事件
再び新人会とは?──その歴史的意義を問う
第15講 社会運動の諸相……福家崇洋
初期社会主義から大正デモクラシーへ
ロシア革命と米騒動
分岐する社会主義運動
国境を越えた戦線統一
アナ・ボル対立と各運動への影響
共産党大会の開催と「レフト」設置
関東大震災と社会運動の転換
第16講 女性解放運動──『青踏』から婦選獲得同盟へ……進藤久美子
前史──明治近代化と家制度
『青踏』の創刊──「元始、女性は太陽であった。」
「新しい女」の主張
働く女性の増加と母性保護論争
新婦人協会の創立──初めての政治運動
新婦人協会の限界と意義
関東大震災と女たちの一票の要求
婦選獲得同盟の発会──普選の次は婦選
第17講 国家改造運動……福家崇洋
国家改造運動の位置
日中印革命の交錯と三五会
「改造運動連絡機関」老壮会
猶存社と『雄叫び』創刊
宮中某重大事件と東宮渡欧問題
猶存社の解散
第18講 宮中某重大事件と皇太子訪欧……黒沢文貴
大正期の天皇制をめぐる二つの暗雲
大正天皇の病状の進展
皇太子教育への批判と洋行論の噴出
「身」としての統治権者の資質の重要性
宮中某重大事件の勃発
原敬首相の立場
婚約変更反対運動と洋行反対運動
純血論を保持する皇后と原
国体論の二側面としての純血論と人倫論
宮中某重大事件の余波
第19講 関東大震災後の政治と後藤新平……筒井清忠
はじめに
第二次山本権兵衛内閣の成立
山本内閣と新聞世論
山本内閣と政党
後藤・犬養と新党運動
新党計画の挫折
後藤攻撃と後藤の挫折
小括
第20講 排日移民法抗議運動……渡邉公太
「排日移民法」の衝撃
抗議運動の第一波
各種団体による抗議運動
抗議運動の第二波
最後の抵抗
アジア主義への傾斜
排日移民法抗議運動の教訓
第21講 「軍縮期」の社会と軍隊……高杉洋平
「坂の上」としての大正
「大衆」の時代
軍部大臣現役武官制廃止(軍部大臣任用資格改正)
軍部大臣武官制の運用実態
軍縮(山梨軍縮・宇垣軍縮)
宇垣軍縮の隘路
総力戦(国家総動員)
「軍縮期」の教訓
第22講 第二次護憲運動と加藤高明内閣……小山俊樹
大正末期の政界変動──清浦内閣の成立と政友会分裂
護憲三派提携の底流
清浦奎吾内閣の成立と元老西園寺公望
第二次護憲運動の発生
第二次護憲運動の地方における影響
護憲三派内閣の成立
男子普通選挙法と治安維持法の制定
連立崩壊、第二次内閣と加藤首相の死
第23講 若槻礼次郎内閣と「劇場型政治」の開始……筒井清忠
第一次若槻礼次郎内閣と劇場型政治の開始
第一次若槻礼次郎内閣の成立
松島遊廓事件
陸軍機密費事件
朴烈怪写真事件
若槻内閣の評価と劇場型政治の開始
第24講 中国国権回収運動……岩谷 將
はじめに
旅順・大連回収運動
長沙事件
土地商租権(貸借権)無効問題
五・三〇事件
第25講 破綻する幣原外交──第二次南京事件前後……渡邉公太
高まる中国ナショナリズム
北京関税特別会議
第一次北伐
第二次南京事件
反共クーデターとその余波
第26講 大正天皇論……梶田明宏
幼少時代の病気と教育
皇室制度からみた近代最初の皇太子
結婚と全国行啓
天皇として
病気の進行と摂政設置
忘れ去られていった天皇
あらためて「大正天皇」を考える
編・執筆者紹介
凡例

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Book Lover Mr.Garakuta

16
【図書館本】【速読】:大正時代の政治と民衆に纏わる話2022/02/12

qwer0987

11
大正期の政治状況をテーマに沿って概説しており、この時代の流れがぼんやりと理解できた気もする。個人的に新人会は知らなかっただけに興味深い。エリート学生の学生らしい行動と限界は色々な面で印象深い。評判の悪い寺内正毅内閣の公正な評価や、関東大震災時の後藤新平への冷静な批評内容などは信頼を置ける。国際連盟創設の際、サイレントパートナーだったという日本の姿は現在と重なるが、人種差別撤廃提案では意見したという話は非常に関心をもって読んだ。その他も目を引く内容が多かった2025/05/28

fseigojp

5
大正があるから昭和がある 2022/12/22

gauche

3
一つ一つのテーマが掘り下げられており、章ごとに参考図書も列記されている。大正時代について基礎知識がある人がさらに知りたいと思ったときに真っ先に読むべき本である。2022/03/21

於千代

2
大正期は「大衆」の時代。政治的にも民衆の力が大きく関わる時代であり、国際関係も大きく転換する時代である。他の○○史講義と同様、小論文集といった趣であるので、前提知識が薄いと中々難解に感じた。2022/02/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18135334
  • ご注意事項

最近チェックした商品