内容説明
課題を自ら見つけ、考え、話す力を、学校や家庭で身につける方法を丁寧に解説する対話教育の基本図書。裾野が広がったここ数年の成果や対話によって得られる学びについて加筆した新版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
46
現在のまた将来の社会で必要とされる思考力とコミュニケーション力。本書ではそれが具体的にはどのようなものであるかを示すと共に、それらを育てるために、学校や家庭に於ける「こどもによる哲学対話」の実践を提案している。たとえば「人は死んだらどうなるか」というようなテーマで話し合うことで、議論の深まりと共に、死や無に関する思考へと発展していく。その過程では、こどもたちが持っていた単なる知識や技術だけでなく、思考力、判断力、表現力等々の力が総動員されることで、お互いの内にもそれらが育まれていく。もちろんそのような議論2021/04/15
壱萬弐仟縁
37
2018年初版に増補した本。時間のない人はゴシ太箇所でよい。現代社会で必要なのは、思考力、コミュ力、対話力や議論力(014頁)。考えるとは、関係性を見つけること(031頁)。対話とは、驚きから始まり、探究と思考によって進む会話(034頁)。コミュ力とは、人を結集させる交流の力(057頁)。哲学対話は、批判思考、創造思考、ケア思考を育てる(095頁)。補論にあるように、高校では来年度から総合的な探究の時間が総合学習では変更されるようだ(276頁)。2021/09/26
livre_film2020
32
本書のキーワードを挙げるとすれば、「受容」と「対話」だ。まずどんな意見も受け入れるという受容的空間を作り、そこで腹を割って話す。すると、対話を通じて思考が深くなってゆく。これをするための理論と実践について本書は紹介している。現在の教育は子どもに対して差別的であると河野先生は述べる。実際、子どもの頃から子どもらしくない考え方をすると言われていた私からすれば「その言葉を当時の私に掛けてほしかった!」と思った。そのくらい「こども哲学」の考え方•やり方には賛同しているが、言語についての言及がないのが気になった。2023/10/29
たまきら
32
家で応用できるかな、という気づきもありましたが、どちらかといえば学校を想定して描かれている哲学レッスンです。保護者会が先週あったんですが、先生と国が掲げる学習指導要領「生きる力」について話す機会があり、色々と考えさせられました。企業というマシンのネジを製造するような教育では、この国は生き延びられない、とみんな気づいています。でも出る杭は打たれてきた日本という国で、グレタさんのような子供は育つだろうか?自分の意見を伝え、相手の反対意見を受け止められる社会を作れるだろうか?手探りの挑戦が現場で続いています。2021/09/26
かんがく
11
授業のファシリテーションの参考にするために読んだ。自分は問いかけなどの攻めの技術は意識できているが、じっくり待つなどの受けの技術が疎かになっているなと自覚できた。本書で何度も繰り返し述べられている「セイフティ」を準備していく姿勢が必要。2022/07/09