ちくまプリマー新書 「ゆっくり」でいいんだよ

著者名：辻信一【著者】

筑摩書房（2021/07発売）

• ISBN：9784480687456

内容説明

知ってる？　ナマケモノが笑顔のワケ。食べ物を本当においしく食べる方法。デコボコ地面が子どもを元気にするヒミツ。「楽しい」のヒント満載のスローライフ入門。

目次

第一部　時間がない！──ファストライフの秘密
第一章　きみと時間の関係
忙いそがしい、時間がない
何のための忙しさ？
われらパパラギの不幸
第二章　時間ドロボーは誰だ!?
モモと時間泥棒
「急げ、もっと速く」とささやく者
節約した時間はどこに消えるのか？
魔法使いの弟子たち
第三章　時間戦争
「自然時間」と「社会時間」
経済という〝裸の王様〟
経済の時間が自然をこわしている
生きものたちの時間を盗んでいるのは誰？
第四章　愛はゆっくり
人は愛なしに生きていけない
愛とは時間をムダにすること
時間競争が愛をこわしている
「時は金なり」という物語
「人生は競争」という物語
第二部　時間のくにへ帰ろう──スローライフへのカギ
第一章　ナマケモノになる
ミツユビ・ナマケモノとの出会い
ナマケモノはすごい奴
ナマケモノは平和
第二章　食いしん坊宣言
食べものは生きものだ
スローフード
おいしさはありがたさ
第三章　たのしい引き算
足し算社会
ＧＮＰからＧＮＨへ
より少ないことはより多いことである!?
引き算の進歩
ズーニーが合言葉
第四章　幸せはお金じゃ買えない
散歩
ぼくの宝もの
少ないものに群がるのをやめる
ないものねだりから、あるもの探しへ
第五章　遊ぼう、外にとび出そう！
遊ぶために生まれてきた!?
アウトドアは楽しい不便だ
「便利」をこえて
デコボコでスローな世界へ
第六章　カナダの少女セヴァンの旅
ぼくの「先生」
アマゾンの奥地からのお客さん
子どもだけど、私は知っている
世界を楽しむ！
第七章　がんばらないで、ゆっくりと
手を使う、ものを作る
待つ、つきそう
急がない、がんばらない
終わりに　ハチドリのひとしずく

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[kinkin]

時間に追われ、時間をひねり出そうとし、物事の本質を忘れて便利さ、効率ばかり探している。一分間をいくらみっちりと使おうとして挙げ句に疲れ果てる。「働き方改革」などまさに時間をわたしたち働いている人々から体裁よく盗み取ろうとしているのではないか。盗まれた時間=お金はどこに行く。大企業であり共に私腹を肥やす資本家たち。いつでもどこでもほしいものが手に入る世の中、反面その不便さを気づかないうちに押し付けられているのかもしれない。この本を読んで感じたこと。「パパラギ」や「モモ」をまた読んでみたくなった。

2018/06/13

[タルシル📖ヨムノスキー]

最近よく聞く〝スローライフ〟について書かれた本。この本を読んでまず感じたことは、自分は、「何をそんなに急いでいたんだろう」、「何に焦っていたんだろう」ということ。なんでも出来ること、早く出来ること、たくさん出来ることが凄い、偉い、正しいと子供の頃から教え込まれてきた。今更急に考え方や生き方は変えられないけど、ちゃんと休みを取って、ゆっくりご飯を食べて、おしゃべりして、のんびり散歩して、大好きな本を読んで…。まずは肩の力を抜いて、空を見上げて、深呼吸するところから始めてみよう。

2019/05/14

[まちゃ]

国語の先生のお勧めで読みました。モモのお話しは小さい時から好きでした。昔はただ読むだけでしたが文章ひとつひとつに説得力があり意識して読むとモモちゃんが話す単語自体は簡単な言葉だけれど深い意味が込められていたんだと再認識です。 モモと時間泥棒劇を小学校の学芸会で発表したことを思い出して懐かしんでいました。 よく、『もっとシャキッとしなさい』と言わるくらいスローでダラダラな私なせいか筆者の提案するスローライフ、好感です。

2017/07/09

[takeapple]

読み始めは、まあこんなものだろうと思っていた。忙しい世の中だから、ゆっくりって言いたいんだろうなあ、でも無理だよ、そんな机上の空論言ってもしかたないよと。しかし、ここに書いてあることをよ〜く噛みしめて読むと、成程、おっしゃるとおり、私が間違っていました、ハッハ〜とただひれ伏すのみです。自分にとっては、今年のＮｏ．１は大げさでも片手に入るかな。ぜひ娘達に読ませたいなあ。

2010/07/29

[しみそー]

■個人的な生き方を超えて、政治的なことも書いている。■ちくまプリマー新書だから小難しい理論武装はほとんどない。けど、消費社会や効率社会を相対化する素朴な視点として、すっと頭に入ってきた。■この本を読んで完全に納得することなんてないけど、明日は散歩でもするか……そんなことを思った。

2019/06/21