内容説明
第二次世界大戦、大震災と原発、コロナ禍、日本はなぜいつも「こう」なのか。「正しい歴史感覚」を身に付けるには。教養としての歴史が社会から消えつつある今、私たちはどのようにしてお互いの間に共感を生み出していくのか。枠にとらわれない思考で提言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
96
與那覇さんの怒りが炸裂し刺激的な一冊。現代を抉る鋭い言葉が並ぶ:能力の忖度、にわかポスコロ、ハッシュタグの正義が歴史を滅ぼす、ネットで代替できるのか、ニヒリズムというウィルス…。昭和天皇晩年の自粛同調圧力や、原発事故の危機を煽るデマの経験が生かされないことに、歴史学者としての悔恨がある。エビデンス主義の危うさを指摘し、大事なのはtruth(真実)ではなくtruthfulness(真摯さ)だと。本書の個々の指摘に、私自身は、賛成6割・不同意4割といったところだが、自らの信念で熱く語る著者の誠実さは清々しい。2021/08/19
nnpusnsn1945
67
いくつかの論評や対談を纏めた本。著者の俯瞰的な視点は面白い。学術会議の任命拒否は問題だが、抗議側にも腑に落ちない点もあったらしい。(大学の閉鎖に何故抗議しない?等)実証主義にこだわっても修正主義者が猖獗する現実は皮肉である。私は国粋主義者は嫌いゆえ実証派の方に与するが、あまり史実に拘泥しすぎても論破してやったりのようで気持ちの良いものではないのも確かである。(著者も現実的な忠臣蔵なんて誰も見たがらないと述べている。)辻田真佐憲氏の『超空気支配社会』と類似している箇所が結構あるので、合わせて読むと良い。2021/07/29
Sam
48
予備知識なしで読み始めたせいか最初は同業者(歴史学者)に噛み付くだけの内輪揉めの本か?と誤解しかけたが、読み進むうちに決してそんなことはなく、少々熱量は多めだが実は真摯な思想家(すでに「歴史学者」は廃業した由)であることが分かったし、鋭い着眼点や批評に感心させられる箇所も多々あった。「歴史」の意味や存在価値について考えさせられる、読み応えのある一冊。一方で、インタビューから始まってコラムや書評、最後は対談というかなり盛り沢山な構成になっているため、散漫な寄せ集めという印象が拭えないのも事実。2021/09/20
南北
42
コロナ禍において「歴史感覚」のない言論が横行したことの批判と同時期の書評やコラム、さらには対談をまとめたリベラル系の「元歴史学者」の本である。インフルエンザなどでどう対応したのかを無視して、自己の恐怖感覚を満足させるために「歴史感覚」のない言論を信じ込むという批判には同意できる点があったが、同意できない点もかなりあった。まずTruth(真実)よりもTruthfulness(真摯さ)の方が大切だとし、「共感」を高めるべきだとしているが、必要なのは「共感」ではなく一見理解不能なことを「解明」する作業だと思う。2024/06/28
ころこ
42
歴史学者廃業を聞いたとき、これからの活動はどうするのだろうかと不思議に思ったのですが、本書を読むと発言の意図が分かります。本書は主にコロナ到来後の文章やインタビュー対談です。印象的だったのは、ここ2年位の著者の旺盛な活動ぶりと、それを突き動かしている反時代的な問題意識についてです。実証主義的な歴史なき風潮に対し抗うことよって、自ら培ってきた〈歴史〉意識を守ることが歴史学者ではないことの宣言だったと理解できます。思えば『中国化する日本』の再帰的近代と、フーコー的なメタ歴史学の様な本書は案外と一貫しています。2021/06/24
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