内容説明
第11回『このミステリーがすごい! 』大賞・大賞受賞作、待望の文庫化! 北海道根室半島沖の北太平洋に浮かぶ石油掘削基地で、職員全員が無残な死体となって発見された。救助に向かった陸上自衛官三等陸佐の廻田と、感染症学者の富樫博士らは、政府から被害拡大を阻止するよう命じられる。北海道本島でも同様の事件が起こり、彼らはある法則を見出すが……。未曾有の危機に立ち向かう! 壮大なスケールで「未知の恐怖」との闘いを描くパニック・スリラーです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
452
冒頭から序盤にかけての、新型の病原菌によると思われる感染者達があっと言う間に血だらけの肉塊に変異してゆく阿鼻叫喚の地獄絵図。ここまでは良し。しかしその後、どうもこれは病原菌による感染症ではないらしいと解り始める辺りから物語は迷走を始め、登場人物は皆、何をしに出てきたのだかわからない適当な扱いで、総理始め内閣の面々は揃いも揃って役立たず。見せ場の【敵】との対決シーンも、状況の説明が精一杯で何より緊迫感が伝わってこない。幕切れもはっきりしない、モヤモヤしたままで何のカタルシスも得られず。これは駄目だった。2022/11/30
ちょこまーぶる
379
早くページを進ませたなるくらいワクワクしながら読んだ一冊でした。生物が病原菌からの影響を受け、変異して本来の生態ではなくなってしまって人間を襲い始めるというあらすじは、時々見かけるとは思うが、いつも「いつ実際に起きてもおかしくない」という思いに駆られてしまって背筋をゾクゾクさせながらこの本も読み進めましたね。学者間の醜いプライドや現場の自衛隊や学者と無能な政治家たちの生に対する価値観の違いなど本当に面白い。「事態は現場で起きてるんだ!!」です。そして、驚いたことは故郷の市民が全滅してしまったことです。2015/08/05
ehirano1
363
かなり絶望的な内容で、終章でも希望なかなか現れず、これはとうとう「絶望」が賞を取った作品なのかとある意味その絶望的結末を興味深く見守っていましたが、まさかの・・・まあそれはそれでなるほど、とは思いました。2025/05/25
射手座の天使あきちゃん
349
鳥インフルエンザのパンデミック時(2005年?)の大混乱を思い出しました。海外出張から帰ったら1週間出社停止(自宅待機)になっちゃいましたね(笑)。 この小説に登場する劇症感染症?の恐怖は、とてもそんな笑い話では済みません! 結末が気になってひと息に読みました。 難を言えば政治家の描き方が酷過ぎですね(笑) あっ、あと表紙 佐々木譲さんの太平洋戦争三部作の新作かと思っちゃいました、えへへ! <(^_^;2014/05/06
W-G
343
以前に読んでいたっぽい。私の地元北海道が滅茶苦茶になる話。新型のウイルスか?と思いきや、まさかの○○○○が原因と判明してジャンルをクロスオーバーしていくような展開は新味もあって引き込まれるのはたしか。ただ、そもそも論として、そういうことなら、あんなになるまで誰も気づかないはずがないという世間の常識を平然と無視して行われた力技なので、上手く裏をかいたという賛辞にはあたらない。ラストの意味もかなりわかりづらい、というか、どう解釈してもツッコミどころが消えないと思うのは、私の頭が悪いから?2023/09/06