内容説明
満足? 後悔? 愉悦? 絶望?
人生の黄昏を迎えるとき、人は自らの来し方をどう捉えるでしょうか。
長く別居して年一回の対面を重ねる夫婦、
定年間近の独身男の婚活、
還暦過ぎの女友達二人、
かつて交際していたアイドル歌手同士の再会……。
乙川さんの新作は、誰の身にも起こり得る人生模様を端正な文章で紡ぎます。
時代小説から現代に小説の舞台を移してからも大佛次郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞、島清恋愛文学賞など数々の評価を得ている筆者による9つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
201
乙川 優三郎は、新作中心に読んでいる作家です。タイトル通り、著者の紡ぐ九つの短編、恋愛譚、オススメは、『1/10ほどの真実』&『安全地帯』&『海のホテル』です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639139332021/08/09
じいじ
99
中年の男と女を主人公にした現代物9短篇集。乙川氏らしさは感じるものの、時代物での肌に絡みつくような感触が薄いように思う。しかし、今でも好きな作家の一人である。個人的には頭と最後の2篇が好み。生まれつきの性質・意気が違う?夫婦の話。単身パリにわたった妻は、仕事の活路を見出す。夫は1年ぶりにパリの妻を訪ねて、嫉妬と挫折感を味わって単身帰国の途に…【1/10ほどの真実】。噛み合わなくなってしまった夫婦の話。仕事まっしぐらの夫と家庭を我慢強く守る妻。その妻にも限界が訪れる…【海のホテル】。2021/11/26
雅
66
年齢を重ねた事で示せる生き方。短編集だけど濃密な中身の一冊でした。2021/07/14
キムチ27
65
現代へとギアアップした氏の最近短編集。人生の黄昏期を歩む男女の俯瞰図と言った呈。気乗りせず煙をくゆらす傍観者の筆者の視線・・いい味。日本モノで数少ない「作家読み」の乙川氏。ラスト近くには「あれ?乙川さん、直木賞だったよな」と違和を覚える芥川賞テイスト。2,3編は昨今の熟年男女によくある話。「六杯目~」のラスト、捻って行く男の心情・・次なる場面は?とにんまり。筆者の生活周辺事情でテーマ等が都会というのは当然だが登場人物・・何れも「う~ん」という臭み。翻ると自分もそう言ったニュアンスかと鼻白んだ読後2021/10/12
ひらちゃん
65
老年期に差し掛かったそれぞれの男女の短編集。随分とずけずけものを言う女の人が登場する。しかし嫌味は感じない。生きてきた時間がそうするのか。何かというオチはないのだが、しっくりくる話が多数。ここで終わり?と言うくらいの短さが潔い。2021/10/03