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内容説明
6月生まれで、雨の日にあじさいの葉の上をのたりのたりと歩く蝸牛(かたつむり)に親近感をおぼえ、
なんだか自分に似ているという、やまとけいこさん。
薄くて軽い渦巻状の蝸牛の殻は、一人静かにプライベート空間を楽しめる、くつろぎのマイホーム。
家財道具すべてを背負い、心ゆくままに旅にでることのできる山登りと、
コツコツと一人、試行錯誤しながら描きたい絵を描くことは似ている。
蝸牛のように、山と絵の世界を歩き続けてきた著者による、エッセイ&イラスト集。
【内容】
はじめに
第一章 始まりの山
流星群とご来光/兄とワンダーフォーゲル
第二章 ワンゲルの日々
高いところが好き/歩荷とキスリング/美大ワンゲル夏合宿/北アルプス大縦走/雷に追われて/
真夜中のスープスパゲッティ/山よりキャベツ/あんきも鍋/縄文杉と山の怪
第三章 一人の山
リュウキュウイノシシの運命/暗い寒いお腹が空いた/モグラトンネルを抜けて/海外の山と旅
第四章 源流に大岩魚を求めて
鈴蘭と沢登り/藪漕ぎ大好き/イワナと命拾い/痛くない痛くない
第五章 クライマーに憧れて
人生で一番寒かった日/岩の割れ目に挟まれて/死の山の岸壁/虫の知らせ
第六章 山の暮らし
黒部源流にて/南極と日本の極地/帰りを待つ人々/銃口と鹿の目/クジラ跳ねる海
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
67
山の風景を描くイラストレーターによるエッセイ集。著者のイラストは『黒部源流山小屋暮らし』からその柔らかなタッチに惹かれていたが、今回も冒頭の涸沢の風景に一気に引き込まれる。内容は何故著者が山に登り始めたのか。から始まり、大学のワンダーフォーゲルからアルプス縦走、沢登りに藪漕ぎ、ロッククライミングと兎に角アクティブ。沢に落ちたり岩に手を挟んだりと、危険と隣り合わせだけど。日々の雑事に追われ山どころか自然と触れ合う機会もあまり無い我が身につい引き比べてしまう。読んでいるとしきりに山に意識が向かう一冊でした。2023/04/24
ジンベエ親分
30
友達が書いた2冊目の本。前作が北アルプスの薬師沢小屋の歳時記だったのに対し、本作は学生時代から現在に至るまでの絵や山や旅の記憶の書で、自分もまだ聞いてなかった話がたくさん出てきて楽しかった。西表島の遭難騒ぎ、骨折事故、アフリカ旅行記など、それぞれ1章、あるいは1冊になるくらいのボリュームのある話をさらりと書き連ねていくスタイルで、普段の本人を知っているので文章が少し堅い気もするけど、抑えた筆致は心地良く読める。山と渓谷社は印税が安いので、たくさん売れて欲しいな(^-^*)2021/06/26
まさ
27
前作は薬師沢での日々でしたが、今回はそこに至るまでのやまとさんの登山のあれこれ。蝸牛のようにマイペースでのんびりと思っていたけど、なかなかハードですねぇ。その分、自然の厳しさとそこで出会う人のやさしさや、山や人のきらめきを感じてしまいます。あぁ、薬師沢に行かなくては!2022/08/04
ちぃ
19
登山始めて間もない頃、前作を読んだ。行きたいなぁと思っていた山域にこの夏ようやく行けました。著者の方にもお会いして、テンション高まったところで読んだ本作。失敗もありの山経験を柔らかいけどゆるふわじゃない堅実なトーンで綴ってくれてとても面白く読んだ。今度は薬師沢小屋にも泊まってみたいなぁ!2022/07/20
roatsu
17
前作から待望で、期待通り素敵な紀行文と画集。ほんわかしているけれど鋭さも併せ持つ味わい深い文体と、柔らかな線と色使いで優しさとリアルさが同居する挿絵に引き込まれる。薬師沢小屋番ライフとは違う、著者の今昔とそこに大きく影響してきた山や自然との関わりが綴られる。やまとけいこさんができるまで、といった感じか。時に吹き出し、時に真剣に考えつつ、あっという間に読み終えてしまう。最近同調圧力や固定観念が取りざたされるが、殆どの人間は言葉を弄するだけで決してそこから脱却しない中、静かに着々と「自分になる」を実現している2021/06/23