ちくま新書<br> 古代史講義【氏族篇】

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ちくま新書
古代史講義【氏族篇】

  • 著者名:佐藤信【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/06発売)
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  • ISBN:9784480074041

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内容説明

古代日本をつくった氏族は、いつ歴史の舞台に登場し、その後どのように歩んだのか。大伴氏、物部氏、蘇我氏、阿倍氏から、藤原氏、橘氏、佐伯氏、紀氏、東漢氏、西文氏、菅原氏、源氏、平氏、そして奥州藤原氏に至るまで――各時期に活躍した代表的氏族を取り上げるとともに、通時的な歴史の展開をも見通したい。単に各氏族の事典的な解説にとどまらず、最新の研究状況を紹介しながら、時代背景としての古代社会の姿を明らかにしていく。ハンディながら古代史像を刷新する一書。

目次

はじめに……佐藤 信第1講 大伴氏(伴氏)……大川原竜一大伴氏(伴氏)と「令和」
大伴氏の由来とその本拠地
神話・伝承にみる大伴氏の祖
大化以前における軍事との関わり
六世紀代の対外関係と大伴氏の役割
壬申の乱における大伴氏の活躍
律令体制の始動と大伴氏
奈良時代後半の大伴氏の展開
平安時代の大伴氏(伴氏)
第2講 物部氏……篠川 賢物部氏の成立
「連」のカバネ
「物部」のウヂ名と物部氏の職掌
物部氏の特徴
物部氏の盛衰
その後の物部氏と石上氏の成立
第3講 蘇我氏……中村友一蘇我氏とは
蘇我氏の出自
蘇我氏と同族とその根拠地
蘇我氏の主な事績と厩戸王・推古天皇との治世
乙巳の変(大化の改新)と蘇我本宗家
その後の蘇我一族
第4講 阿倍氏……服部一隆阿倍氏とその登場(六・七世紀)
阿倍氏の系統と地位(八世紀以後)
阿倍氏の根拠地
阿倍氏の同族と分布
阿倍氏の性格と活動
第5講 藤原氏(鎌足~奈良時代)……佐藤 信藤原氏の誕生
藤原鎌足
藤原不比等
藤原四兄弟
藤原仲麻呂
恵美押勝の乱
藤原百川
第6講 橘氏……新井重行橘氏は印象が薄い?
県犬養橘三千代と橘の由緒
三千代の評価をめぐって
橘諸兄政権
橘諸兄の「相楽別業」
橘奈良麻呂の変
皇后橘嘉智子
橘逸勢と承和の変
橘広相と阿衡事件
橘氏のその後
第7講 佐伯氏……桑田訓也佐伯の語源とウジ名の表記
佐伯氏のカバネ
佐伯氏と大伴氏──「御門の守り」「内の兵」
儀式における佐伯氏
佐伯部と地方の佐伯氏
佐伯氏と政変
氏寺・佐伯院(香積寺)
佐伯氏の衰退
第8講 紀氏……寺西貞弘はじめに
天磐戸神話と日前宮
大和王権軍と紀伊湊
大和王権と紀氏
紀直氏と紀朝臣氏
紀伊国造の任命
律令制度と紀伊国造
律令制の崩壊と紀氏
おわりに
第9講 東漢氏と西文氏……山本 崇渡来氏族──はじめに
始祖伝承──阿知使主と和迩吉師
檜前居住──東漢氏の活動
軍事氏族──七つの悪逆
フミヒト──文筆と記録
烏羽の表──王辰爾とその一族の事績
難波津歌──王仁と学問の興隆
第10講 菅原氏(土師氏)……溝口優樹土師氏の改姓
埴輪の起源伝承
造墓から喪葬へ
律令制下の土師氏
菅原氏三代
道真の子孫たち
古人と桓武天皇の意志
第11講 藤原北家……中野渡俊治藤原氏の始まり
式家との競合
冬嗣・良房の台頭
政変と藤原北家
藤原良房の摂政就任と清和天皇
摂政・関白を担う家系としての藤原北家
第12講 摂関時代の藤原氏(九条流・小野宮流)……西本昌弘藤原時平から忠平へ
藤原忠平と子息たち
九条流と小野宮流
村上天皇の親政
冷泉天皇と関白実頼
守平親王の立太子
安和の変
円融天皇と兼通・兼家
円融天皇と藤原頼忠
花山天皇から一条天皇へ
藤原伊周と藤原道長
道長政権の誕生
道長から頼通へ
小野宮流のその後
第13講 源氏……岩田真由子源氏の誕生
官人としての源氏の動向
源氏の明暗
氏としてのまとまりはあったのか
村上源氏の繁栄
第14講 平氏……黒須利夫平氏の源流
画期としての天慶の乱
伊勢平氏の成立
平忠常の乱
平氏の再編
第15講 奥州藤原氏……樋口知志父系出自
女系親族
初代清衡と前九年・後三年合戦
平泉開府
二代基衡
三代秀衡
平泉滅亡
おわりに……佐藤 信
編・執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

巨峰

49
興味深く読みました。日本もある時期まで血統や氏を重視し、素性が明らかでなければ政治的に上にいけない社会が脈々と続いていたのでしょう。それが崩れるのは織豊時代。偽平氏の織田氏が天下を取りかけ、父もよくわからない豊臣秀吉が関白になりあがったあたりでしょう。2022/03/18

ホークス

42
2021年刊。藤原氏一人勝ちの古代、他の氏族は衰えながらどう生きたか。祖先や事績も交えた論考集。天皇の喪葬を司る土師(はじ)氏は、文字通り埴輪も造っていた。造墓の仕事が減ったため菅原氏や大江氏に改姓する。桓武天皇との関わりが興味深い。阿倍仲麻呂の阿部氏、安倍晴明の安倍氏、奥州の安倍氏は同じ系統らしい。佐伯は「叫ぶ」が語源で、西国に移住させた蝦夷を各地で支配したのが佐伯部、それを都で統括したのが佐伯氏と言う。紀貫之などの紀氏は和歌山の大族。地元の系統は日前神宮の宮司家として続き現在81代目。これには驚いた。2023/02/03

terve

36
古代氏族研究は、新資料が発見されない限りなかなか進展しない。雄山閣の古代氏族研究叢書がなかなか続刊されないのはその証左である。この本はハンディとはいえ、なかなか読み応えがある。しかし、藤原氏に稿を割きすぎであると感じる。上毛野氏、賀茂氏、秦氏、葛城氏、平群氏など有名氏族はまだまだあるように思う。とはいえ、今までの古代史講義とは毛並みの違う内容であるように感じるのはネタ切れだからなのだろうか。2022/01/20

六点

22
古代史に於ける論点を、最新の研究の視点から、短節に纏め、読書子に届けるこのシリーズ。今回は「氏族」についてです。大伴氏や物部氏から始まり奥州藤原氏まで、古代史を彩った集団について、小説的ロマンを破壊し、等身大の氏族の姿を見せてくれます。古代豪族のしぶとさや、息の長さ。賜姓源氏や平氏の生存の努力、時代とともに変幻自在の姿を見せる藤原氏。辺境に生きる逞しさを見せる前九年・後三年関係氏族。何れも、史料の中から生き生きとした姿を現します。歴史学や考古学等の本当の面白さを学べる良い道標になると感じます。2021/09/03

chang_ume

15
古代氏族のミニ辞典といった構成でシリーズ中でもやや毛色が異なる。平安期に下国級の受領として細々と生き残る大伴氏、複姓氏族が構成する大集団としての氏族像が垣間見える物部氏、桓武天皇との個別関係を通じて土師氏からの改姓を図った菅原氏、各代ごとに継承が波乱含みで中央貴族との関係が意外に強い奥州藤原氏など。平安期以降に貴族化できず官人化する古代氏族のすがたが心に残った反面、読んでいてちょっと理解が断片的になりがちな印象。氏族ごとに章立てではなく、テーマをもっと読ませた方が良いのではと思った。2021/07/04

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