岩波新書<br> 子どもへの性的虐待

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岩波新書
子どもへの性的虐待

  • 著者名:森田ゆり
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 岩波書店(2021/06発売)
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  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004311553

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内容説明

子どもをめぐる悲惨な事件の報道が後を絶たない.いったい,この種の事件の背景に何があるのか.本書では,実態を把握し,抱かれがちな誤解を解き,なぜ適切な介入が困難なのか,解決のためにどうすればいいのかを考察していく.制度改革への緊急提言をも盛り込みつつ,あらゆるいのちに力強いエールを送る,「こころの救急箱」.

目次

はじめに┴第1章 性的虐待の基礎知識┴定義は何か┴どのくらい起きているのか┴加害者はどんな人物か┴性的虐待の兆候┴被害を受けた子どもの心理┴子どもにあたえる長期的影響┴サバイバーという言葉の意味┴自然な性行動か、性化行動か┴心の応急手当て┴聴くことのパワー┴第2章 性的虐待の要因┴沈黙の共謀┴加害の四つの前提条件┴性差別社会┴第3章 「小児性愛」という欺瞞┴「性愛」ではなく「暴力」┴「ペドファイル」という病理┴加害者はどのように子どもをだますのか┴ミーガン法の弊害┴若者への予防教育┴第4章 子どもによる性的加害┴日本で起きた事件┴子どもによる性的加害の事実┴施設内の性暴力┴効果的な対応┴今に始まったことではない┴事件の特異性┴第5章 男子への性的虐待┴少年たちへ┴男子への性的虐待の発生件数┴特に考慮すること┴《明けない夜はない》 玄野武人┴はじめに┴記憶を思い出したころ┴涙は心を洗う┴ホームページを開設する┴自助グループをはじめる┴自助グループを通じての快復┴おわりに┴第6章 性的虐待対応の六つの困難性┴特別な困難性┴ある里親の闘い┴司法面接┴第7章 子どもの話を聴く┴虐待のサインに気づいたら┴開示は一連のプロセス┴被虐待児との対話の技法┴してはいけないこと┴第8章 制度改革への提言┴疲弊する現場┴性的虐待対応センターの設置┴被害を受けた一〇代の子どもたちのための施設┴子どもへの防止教育の実施┴法律改正に向けて┴第9章 発見と隠蔽の歴史は繰り返される 「女性の人権」から「蘇った記憶論争」まで┴「子どもの人権」と「女性の人権」┴エレン・ケイの「児童の世紀」┴ヴァージニア・ウルフの苦悩┴アンナO┴社会福祉事業家 ベルタ・パッペンハイム┴お話の治癒力┴ナチスへの抵抗┴無言の約束┴性的虐待の隠蔽から発見へ┴フェミニズムの貢献┴蘇った記憶への攻撃┴記憶論争の背景┴第10章 虐待を超える力 あるサバイバーの闘い┴蘇る記憶に翻弄される┴「過誤記憶(フォールスメモリー)」と宣告されて┴絶望の淵から立ち上がる┴恐怖からの解放┴いのちよ、ありがとう┴回復へ向かうらせん状の力┴主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

75
重くて重くて、読むのに時間を費やした。付箋だらけで、どこに触れようか真剣に悩む。まず呼び名のこと。「小児性愛者」には隠微でタブーな嗜好のニュアンスがある。しかしこれは「暴力」であり「性的虐待」であることを断じている。「愛」が入ることで混乱し苦しみ続ける被害者がいる。30代後半になってから性被害の記憶の蓋が開き、壮絶な10年を過ごす男性の話が衝撃だった。苦しみ、引きこもり、手を差し出され、手を差し出す。その歳月を幸福に感じることすらあるという、死ぬ思いで手にした誇り。人の崇高さを思わずにはいられない。2016/08/06

12
つらい描写もあるけど簡潔で力強い文章なので安心して読めた。性的虐待の基礎知識、その要因、子どもによる性的加害への対処など、読んで良かったと思える内容がギュッとコンパクトに詰まってる。玄野武人さんの寄稿文は本当に感動した。2022/08/18

りょう(読書量低下中)

11
知人からいただいた本。これを読むと、いかに多くの性的虐待が昔から見過ごされていたのだろうかと考えてしまう。社会が蓋をしてしまった子どもの被害。第9章最後の文面が響く。「性的虐待の被害者の声を沈黙の闇の中に押しやろうとする加害者とその傍観者たち。この傍観者たちが力の強い者の側に身を寄せることを止め、被害者の側に立たない限り、性的虐待は時代を超えて隠蔽され続けるだろう。」悲しいかなこういった問題に関心を持たない大半の人は加害者側に身を寄せてしまいがちなのかも知れない。2014/03/22

めん

9
RIFCR(リフカー)研修を受講予定のため、事前学習として読了。私は、加害者に対し「その嗜好を内的に抑止できないなら、死んじまえ」と専門職ならぬ感情を持つ。ただ、本書から系統的な理解が進み、多少はゆとりを持って対応できそうだ。/読メで、伝えたいことは、被虐待児の自然な心理反応「性的虐待順応症候群」の動機の一つが、自分が悪かったと思い込んでいる罪悪感からであることと、被虐待児は事実関係が矛盾している話をすることがよくあること。これを知っていれば、「子どもの話は、信用できないな」との思いが減らせるはず。図書館2016/02/17

ジュリアンヌ

8
児童相談所の職員だけでなく、教師、医者、など子どもと関わる人は読むべき性的虐待についてのテキストだと思う。性的虐待の被虐待児が嘘をついてると思われてしまうなど誤解されてしまうのは、性的虐待の認知度が低いからだ、と感じた。性的虐待の被害者が利用できるワンストップサービスなど日本は整備を進めるべきだと感じた。2016/02/23

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