内容説明
子どもをめぐる悲惨な事件の報道が後を絶たない.いったい,この種の事件の背景に何があるのか.本書では,実態を把握し,抱かれがちな誤解を解き,なぜ適切な介入が困難なのか,解決のためにどうすればいいのかを考察していく.制度改革への緊急提言をも盛り込みつつ,あらゆるいのちに力強いエールを送る,「こころの救急箱」.
目次
はじめに┴第1章 性的虐待の基礎知識┴定義は何か┴どのくらい起きているのか┴加害者はどんな人物か┴性的虐待の兆候┴被害を受けた子どもの心理┴子どもにあたえる長期的影響┴サバイバーという言葉の意味┴自然な性行動か、性化行動か┴心の応急手当て┴聴くことのパワー┴第2章 性的虐待の要因┴沈黙の共謀┴加害の四つの前提条件┴性差別社会┴第3章 「小児性愛」という欺瞞┴「性愛」ではなく「暴力」┴「ペドファイル」という病理┴加害者はどのように子どもをだますのか┴ミーガン法の弊害┴若者への予防教育┴第4章 子どもによる性的加害┴日本で起きた事件┴子どもによる性的加害の事実┴施設内の性暴力┴効果的な対応┴今に始まったことではない┴事件の特異性┴第5章 男子への性的虐待┴少年たちへ┴男子への性的虐待の発生件数┴特に考慮すること┴《明けない夜はない》 玄野武人┴はじめに┴記憶を思い出したころ┴涙は心を洗う┴ホームページを開設する┴自助グループをはじめる┴自助グループを通じての快復┴おわりに┴第6章 性的虐待対応の六つの困難性┴特別な困難性┴ある里親の闘い┴司法面接┴第7章 子どもの話を聴く┴虐待のサインに気づいたら┴開示は一連のプロセス┴被虐待児との対話の技法┴してはいけないこと┴第8章 制度改革への提言┴疲弊する現場┴性的虐待対応センターの設置┴被害を受けた一〇代の子どもたちのための施設┴子どもへの防止教育の実施┴法律改正に向けて┴第9章 発見と隠蔽の歴史は繰り返される 「女性の人権」から「蘇った記憶論争」まで┴「子どもの人権」と「女性の人権」┴エレン・ケイの「児童の世紀」┴ヴァージニア・ウルフの苦悩┴アンナO┴社会福祉事業家 ベルタ・パッペンハイム┴お話の治癒力┴ナチスへの抵抗┴無言の約束┴性的虐待の隠蔽から発見へ┴フェミニズムの貢献┴蘇った記憶への攻撃┴記憶論争の背景┴第10章 虐待を超える力 あるサバイバーの闘い┴蘇る記憶に翻弄される┴「過誤記憶(フォールスメモリー)」と宣告されて┴絶望の淵から立ち上がる┴恐怖からの解放┴いのちよ、ありがとう┴回復へ向かうらせん状の力┴主要参考文献
感想・レビュー
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しいたけ
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りょう(読書量低下中)
めん
ジュリアンヌ