岩波新書<br> 花粉症と人類

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岩波新書
花粉症と人類

  • 著者名:小塩海平
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2021/06発売)
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  • ISBN:9784004318699

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内容説明

目はかゆく,鼻水は止まらない.この世に花粉症さえなければ――.毎年憂鬱な春を迎える人も,「謎の風邪」に苦しみつつ原因究明に挑んだ一九世紀の医師たちの涙ぐましい努力や,ネアンデルタール人以来の花粉症との長い歴史を知れば,きっとその見方は変わるだろう.古今東西の記録を博捜し,花粉症を愛をもって描く初めての本.

目次

はじめに┴第1章 花粉礼賛┴1 偉大なる創造物┴花粉の誕生/花粉はなぜ飛ぶのか/風を愛する花,虫を愛する花┴2 花粉発見史┴世紀の顕微鏡学者たち/植物にも性がある!/自然の神秘/花粉への讃歌┴3 日本での事始め┴最初に花粉をみた日本人/花粉という日本語/サムサノナツハオロオロアルキ┴第2章 人類,花粉症と出会う┴1 ファースト・フラワー・ピープル┴花粉は情報の宝庫/シャニダール洞窟での発見/ネアンデルタール人は花粉症だった?┴2 最初の花粉症患者は?┴アテネのヒッピアス説/聖書の花粉症/クレオパトラとエジプト医学/アッシリアのナツメヤシ授粉作業/日本最古のナツメヤシ/古代中国の伝承┴3 バラ風邪の発見 古代から中世へ┴医学の父,ヒポクラテス/天才ラーゼス/詩に謳われたバラ風邪┴第3章 ヴィクトリア朝の貴族病? イギリス┴1 花粉症論文,初登場 ボストック┴嘲笑の「新・文明病」/花粉症,医学会に初登場/ボストックの第一講義/ボストックの第二講義/諸説紛糾した病因論/ドイツ人気質の研究者ヒューブス┴2 花粉症研究の父,ブラックレイ┴実験的研究が突き止めた「黒幕」/無謀な実験/空中の花粉量を測定する/ダーウィンからブラックレイへの手紙/「貴族病」の説明┴3 名誉ある病に昇格┴ステータスシンボルとしての花粉症/優生学的発想への誘惑/花粉症は神経衰弱?/松下禎二と病原菌説/ワクチン開発の試み┴第4章 ブタクサの逆襲 アメリカ┴1 花粉症の選ばれし家,アメリカ┴モリル・ワイマン医師と「秋カタル」/犯人はブタクサ?┴2 フロンティア開発とブタクサ┴広がるブタクサのフロンティア/花粉症リゾートの形成/鼻持ちならない花粉症学会/ビアードのアンケート/ヘミングウェイと花粉症リゾート┴3 アメリカ人とブタクサの攻防┴世界初の空中花粉地図の作成/エアコンとインドアライフ/「道徳雑草」への出世/スーパーウィードへの変身┴第5章 スギ花粉症になることができた日本人┴1 花粉症への「あこがれ」┴枯草熱の記憶/アメリカで花粉症になった日本人/ジェームス原の花粉症研究/民族性をめぐって/GHQと花粉症┴2 初症例から花粉症裁判まで┴花粉症患者,ついに出現/田淵幸一選手の引退/スギ植林政策を問うた花粉症裁判┴3 2人に1人が花粉症┴スギ花粉症は日本人の証明?/誇るべき罹患率┴第6章 花粉光環(コロナ)の先の世界┴1 花粉症の効用┴病気にかかるというアドヴァンテージ/衛生仮説と消毒思想/共生への道/スギは日本の秘宝!/シーボルトが愛したスギ/無花粉スギ・少花粉スギ┴2 私の研究遍歴┴鳥もち作戦/スギ花粉との苛酷な闘い/スギ花粉だけを「自殺」させる/シドウィア・ジャポニカに対する苦言/花粉症軽減モデル都市の夢┴3 花粉症と人類の将来┴いくつかの予言/花粉光環を眺めよう!┴あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

112
著者の専門は植物生理学。1990年代スギ花粉飛散防止の研究を担当する内に憎むべき花粉に魅了されてしまった。花粉が地上に誕生したのは大型恐竜が闊歩していたジュラ紀のこと。裸子植物が昆虫と共助関係を持ったお陰で生き残ってきた。花粉という専門用語を造語したのはリンネで、人類との出会いはネアンデルタール人だったという。東京都の花粉症有病率は1980年代が10%、2016年が48.8%。人類が森林を破壊し自然に対する行き過ぎた働きかけの結果、我々の身体反応に変化をもたらした。ヘクション!God bless you!2023/03/13

niisun

30
花粉にまつわる様々なエビソードは面白く読めましたが、専門家の書いた新書にしては、若干、情緒的な内容でしたね。それにしても「花粉症推定有病率」が1983~1987年の第1回調査時に10%って、中学時代(1984~1986年)にスギ花粉症の自覚があった私は、国内では最初期の罹患者ということになりますね。まぁ、なにしろ、自宅の敷地内にスギが3本も生えてるのでしようがないですけど。しかし、“花粉症”を優生学的発想から“貴族病”と捉えてきた人類の愚かしさは、コロナ禍での人種差別にも脈々と受け継がれているようですね。2021/03/23

そうたそ

21
★★★☆☆ 今年も猛威を振るう花粉症。毎年のことながら目は痒いし、鼻もグズグズと。これを読んだところで何の花粉症対策にもならないが、どうせ花粉症ならば花粉症の蘊蓄くらい語りたいという人にはうってつけか。2021/04/16

19
ネアンデルタール人も花粉症だったかもとか、ナツメヤシでも花粉症になるとか、欧米では特権階級がかかるものとされ花粉症はステータスだったとかおもしろい。花粉症と共に生きる人生ですが、一番ひどかったのはズーラシアのロシアゾーンで、ロシアの植栽のシベリア杉とかと動物の毛や体臭諸々がミックスした空気を吸ったときでしたね…。おそろしあ。著者の方が発明した界面活性剤を散布してスギ花粉とカメムシを退治するパルカットがうまいこといきますように!!!2021/06/27

もえたく

16
ネアンデルタール人が花粉症だったかもしれない話から、田淵幸一選手の引退の原因が花粉症という話題まで古今東西の研究や文献から描く花粉症の歴史。花粉症は辛いが、花粉が悪い訳ではないことがよく分かります。 「人が花粉をもつ植物から学ぶべき大事な教訓。清い心"根"を持ち、まともな言"葉"を語り、人生の"花"を咲かせ、充"実"した生涯を送る」2021/04/16

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