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内容説明
密教が創造した究極のアイテム・マンダラ。最高の真理を視覚で伝えるために開発されたといわれ、人々に無上の安らぎをもたらすとされてきた。日本では空海が唐から持ち帰って以来、自然観を反映した多種多様なものが誕生した。緑豊かな寺社の風景や鹿の姿が描かれたほか、最近は受精卵を中心とする生命の繋がりを表現する「生命誌マンダラ」など、可能性はさらに広がっている。日本で独自の発展を遂げたマンダラの世界に迫る。
紙版に掲載の「付録 マンダラ塗り絵」は、電子版には収録されておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピンガペンギン
23
大分以前に別の角川ソフィア文庫と買っておいた本。「NHKこころの時代・マンダラと生きる」に加筆された内容で、親しみやすい筆致でした。著者はユングが考え出したマンダラ塗り絵を教えておられる方で、巻末に塗り絵があります。(一部の精神科医が治療に使っているとのこと)金剛界マンダラと胎蔵界マンダラの違いだとかマンダラの目的(瞑想に使う、儀式に使う。例えば弟子の入門儀礼などの時に用いる。)など色々なことがわかる内容です。何よりマンダラに触れることを多くの人に伝えたいという熱意を感じました。参考文献も多く掲載。2024/02/14
岡本正行
22
マンダラというのは、なんとなく密教関連で存在は知っていた。現物を見たことはない、この本を読んで、実際に見てみたいと思う。仏(ホトケ)ってなにか、その周辺の多くの神仏、その全体像を考えてみたい。いまさら仏教っていっても理解できない。それでも今のお寺さん、肉食妻帯は当たり前、葬式や法事で経営を維持している存在、そのなかで「妻帯」、邪念というといまの時代、お叱りを受ける。宗教的に気がそがれるのは、偉い僧侶でも同じだろう。健康で元気なら、もちろん。密教は性欲を肯定しているとのこと、それも頷ける、ではお大師様も。2023/05/05
Yosuke Nishimoto
1
こういう本が読みたくなってきている今日この頃。簡潔に知識を与えてくれて、難しい話をかみ砕いて伝えてくれる。 最後に、曼荼羅を塗り絵で体験できるとは。200ページ余りの文庫本としては十分過ぎる満足度だ。2021/12/15
Go Extreme
1
なぜマンダラか:美術作品ではない 自然界 仏教の叡智と欧米の精神医学 マンダラとユング 密教の歴史―マンダラが生み出された背景:密教・密蔵・真言乗・金剛乗 現生に肯定的 神秘主義 神秘体験と瞑想 象徴を駆使 自然との一体化―胎蔵マンダラの世界:ブッダは世界に無関心 自然も成仏 日本・自然そのものがマンダラ 心身の一体化:金剛界マンダラ 五相成身観 マンダラ瞑想法 むすびつけるということ:統合 恵果が統合 空海のマンダラ論 両立という選択 両部不二 わたしたちはどう生きるべきか:マンダラ塗り絵2021/07/05
katashin86
0
博物館で眺めても今一つ見方のわからなかったマンダラについて理解を深めるべく手に取った一冊。 マンダラ=密教の修行アイテムという理解から、インド仏教の最終到達としての密教の教義・世界とその中でのマンダラのもつ役割、そして空海という天才を得た日本仏教におけるマンダラの発展まで、深い内容をわかりやすく伝えてくれる。マンダラのみならず密教、日本仏教についての理解が深まる好著。2022/02/14