内容説明
虐待を疑われ最愛の娘と離れて暮らす柳宝子。私は母親失格――。悩み続けたある日、二十年前に死んだはずの父親の遺体が発見される。遺品には娘への手紙と猟奇事件の切抜き記事。父の過去を探り事件を追う宝子だったがそれが愛する家族の決死の を暴くことに。父の手紙の意味は? 母が犯した罪とは? 愛に惑う〝元子供たち〟を描く感動ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
198
はぁ…またやってしまった。文庫化改題だったよ(泣)親になるというのはある意味、自分自身が試されているような気もする。今なら俯瞰してそんなことも思える。一人で親になる訳じゃない。自分の子宮で育み命かけて産むのは女。産んだからといって全員が母親になる訳じゃない。「捨てたんじゃなくて、あげたんだけど」これを突き付けられた子の心情や如何にだ。まさきとしかさんの世界には『流されて生きる』ような、掴みどころの無い女性が度々登場するが、共感出来ないのにクセになるのは何故だろう。まさきとしか恐るべし!(褒めてます)2021/07/15
mariya926
128
子育て系の小説を読みたくて、題名に惹かれて読みましたが、最初から幻想が打ち砕かれました。母親が子どもにある言われている母性がなく苦しむ女性が、21年前に亡くなったと思っていた父親が亡くなったという知らせを受けて調べ始めます。ミステリーの内容的には面白かったのですが、心がズシンとなる内容でした。今まで読んだ2冊は面白かったけど、他の本は読むか悩みます。2022/11/22
イアン
101
★★★★★★☆☆☆☆『ゆりかごに聞く』の文庫化改題作。21年前に死んだはずの父の遺体が発見された。記者の宝子は失踪後の父の足取りを追う中で、父がある猟奇殺人を追っていたことを知り…。なぜ優しかった父は突然家族の前から姿を消したのか。ミステリとしての意外性はあるものの、死者の指紋がデータベースに残っていたり、母性と父性が欠如した人物が多過ぎで感動するほど共感できず。文庫化改題なのにどこにもそれを書かない出版社もズルい。単行本を読了済なのに文庫本を買ってしまった人にとっては、まさかとしか言いようがないだろう。2021/07/23
アッシュ姉
91
まさきさんの小説はホラーじゃないのに怖い。本作も怖かった。親になるとは、子供にとって親とは、血の繋がりとは。いろいろと考えさせられたが、ある人物のことが理解できないせいか、物語としてはもやもやが残った。2022/04/26
のり
87
我が子を愛せない人は少なからずいる。何とも痛ましい事実だ。血の繋がり云々ではない。愛されて育ったはずなのに、娘に対する接し方に悩みながら、自分の生い立ちを巡る事件を取材する事になった記者の「宝子」。手探りから始まったが、驚愕の背景があった。庇護されるべきの幼い子供達が、この先不憫な事件に巻き込まれない様に祈る。2023/09/06