内容説明
上海の商社マン・王のボディーガードを任された香港在住の元自衛隊員・城戸。王の秘書も連れ降り立った福岡空港で、こちらを見張る刑事の存在に気づく。想定外の事態を訝り始めた矢先、秘書が王を射殺して自死、城戸は殺人の濡れ衣を着せられてしまう。警察は秘密裏に築く監視システムを駆使して城戸を追うが……。傑作ノンストップ警察ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
72
上海の商社幹部の警護を請け負った元自衛隊員の城戸。だが、訪問先の福岡で彼が射殺されてしまう。容疑者として追われる身となる城戸。刑事部、公安部、海洋進出を狙う中国と日本の関係、物語の構図には目新しさは無いが、テンポ良く読ませるストーリーは面白い。大規模な監視システムも知らないだけで、実際には既に運用されているとしたら怖いなぁ。ラストがもやっとした感じなのは真相は闇の中ということだろうか?尖閣水域に毎日のように出没して日本を牽制するお隣の国。実際にこのような事が起きたら日本はどう対応するのだろうか? ★★★+2021/06/13
楽駿
26
品川図書館本。「トップリーグ」の大畑氏を使ったスピンオフ。いつもの相場氏以上に、息つく暇与えぬ急転直下は、月村了衛氏かと思う感じ。その中でも、しっかり調査をして、今、そこにある危機を考えさせてくれるのは、やはり、相場氏!これは小気味良いし、もっと多くの人に楽しんで貰えても良いと思うんだけれどな。日本と中国の関係や、どれほど、監視体制が進んでいるのかとか、考えさせれる事は多い。そういえば、仙台の著名な作家さんが、東京と仙台の監視体制のの違いを踏まえた小説を書いていたな、とか、思ったり。面白いです!お薦め!2021/09/20
Walhalla
24
元自衛隊の特殊部隊でレンジャーの称号を得た兵士が主人公です。公安警察が構築した監視システムが凄い威力を発揮しますが、その追跡をかわしながら事件の真相に迫る様子が格好良いです。主人公・刑事・公安の三つ巴の攻防に加えて、大物政治家の影を追うマスコミなども巻き込みながら、スリリングな展開で手に汗握ります。相場英雄さんのこれまでとは様相の異なる作品でしたが、なかなかハードな内容で面白かったです。2023/12/21
タルシル📖ヨムノスキー
23
まず、この物語が気になった人は、〝血の轍〟と、〝トップリーグ〟を先に読むことをお勧めします。なぜなら公安の志水、そして週刊新時代の大畑が重要人物として登場するから。〝トップリーグ2〟で大畑がチラッと語っていた「元自衛官と逃げ回った」ってのは、この話だったのね。この物語で一番気になるのは、公安が捜査のために用いる最新のシステム。コレはどこまで本当なんだろう。もし事実だとしたら、もはやプライバシーなんて無いに等しい。幕引きはどうにもあっさりというかうやむやというか。最後に志水さんが香港に来るなんて!続編熱望。2023/08/26
きゅ
10
序盤はなかなか読み進められなくて不安になったが、気付いたら物語に入り込んで夢中で読んでいた。主人公・城戸は何か大きな渦に巻き込まれ、追われる羽目になる。その背後にあるものはどんどん不穏さを増していき、読んでいてハラハラドキドキする。現代ならではのハイテクな追跡力での追い・追われる展開で、ただのアクションとはまた一味違う面白さがある。真相の種明かしでもうひと盛り上がりあるとなお良かった。かなり不穏な展開だった割に穏やかな閉じ方だった。2022/08/05