精神科医療の「7つの不思議」

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精神科医療の「7つの不思議」

  • ISBN:9784897754338

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内容説明

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統合失調症の母をもった家族として、自身も精神科を受診した体験者として、その経験を公表した著者は、精神医でもある。公表後、全国から招かれた行った数百回にも及ぶ講演会で当事者(患者)や家族と触れあい、日常の診療だけでは分からなかった精神科医療の姿を知った。家族、患者、精神科医という3つの立場を持つ著者が精神科医療の7つの不思議を紐解くことで、これからの精神科医療のあり方を考える。

目次

まえがき 「生い立ち」を公表後、10年を経てわかったこと
序章:病気のことがわかっていないから起こる……
精神科医療の「七つの不思議」
・精神医学は、病気の原因を未(いま)だに見つけていない
・わかっていないから「不思議」が起こる
第1章:不思議1
病名を言われずに、何十年と通院している患者さんがいる
・なぜ医師は、病名を言わないことがあるのか
・医師によって違っていた診断基準
・今、医師が使用している「DSM(診断)」
・「DSM」は、まだまだ過渡期
・母の症状を当てはめてみると……
・精神疾患を巡る「遺伝」と「環境」の問題
・病気の原因は、「遺伝」と「環境」と「運」
●患者・家族としての私の願い
病気を理解するには、病気の説明が必要です
第2章:不思議2
何十年も薬を飲んでいるのに、ゴールが見えない
・薬を出すときの精神科医の本音とは?
・今、使われている薬は、偶然な出会いから生まれた
・精神科の薬物療法は、とにかく飲んでみるという「経験則」
・それでも薬を、有益なものとして捉える
・私の服薬体験―薬によって得たこと、失ったこと
・減薬、断薬は、自分の症状と照らし合わせながら主治医と話し合いを
●患者・家族としての私の願い
薬を出すなら、「薬を減らす」「薬をやめる」ことも同時に考えて!
第3章:不思議3
精神疾患の原因や薬を見つけるための研究が進んでいない
・人間の「こころ」と「お金」
・研究者は、どんな研究をしているのか?
・拒食症だった私の 「こころ」
・患者・家族と研究者が一緒になって
・「研究の沙汰も金次第」
●患者・家族としての私の願い
研究に患者・家族の参加を!
第4章:不思議4
医師から「統合失調症はありふれた病気」と言われる
・医師を始めとした専門家と、患者・家族の認識の違い
・精神疾患への偏見を、専門家はどう考えていますか
・いろいろなタイプがある「統合失調症」
●患者・家族としての私の願い
患者・家族の実際の生活を知ってください
第5章:不思議5
「病気」を自覚できない人もいるのに、病院へ行かないと治療されない
・なぜ、病気の人が放っておかれるのか
・拒食症だった私が、病院に行かなかった理由
・医師も困っているのです
・家族による自衛対策
●患者・家族としての私の願い
患者さんやご家族は「承認される」ことを願っています
第6章:不思議6
思春期の患者さんの入院に適した病院がほとんどない
・切れ目のない医療を!
・なぜ「思春期科」がないのか
・思春期医療の役割
・地雷を踏んで歩いた、私の思春期
●患者・家族としての私の願い
人間の発達課題を学び、訓練したスタッフを
第7章:不思議7
成人した患者さんに対して、なぜ「家族会」が必要なのか
・どうして精神科医療には、「家族会」があるの?
・私から見た「家族会」
・家族会の現状
●患者・家族としての私の願い
家族の本当の願いは「家族ケア」ではありません
第8章:アンケートから見える「望まれる医師像」
・患者・家族、専門職が力を合わせて、診療をよくするために
終章:精神科医療の未来に向けて
・「病気を治せない」精神科医療ができること
・精神科医療の未来に向けての3つの提案
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

55
精神疾患の患者を家族に持ち、自身も患者を経験した児童精神科医が、精神科医療の「7つの不思議」を懇切に解説していく。①「病名」を言われずに、何10年と通院している患者さんがいる。②何10年も薬を飲んでいるのに、ゴールが見えない。③精神疾患の原因や薬を見つけるための研究が進んでいない。④医師から「統合失調症はありふれた病気」と言われる。⑤「病気」を自覚できない人もいるのに、病院へ行かないと治療されない。⑥思春期の患者さんの入院に適した病院がほとんどない。⑦成人した患者さんに対して、なぜ家族会が必要なのか。⇒2023/03/02

Asakura Arata

5
学会でときどきご講演を拝聴する先生の最新刊。自分も今年ちょうど臨床歴30年なので、親しみをもって読めた。患者さんと同じ高さで臨床をするということを心がけてやっているので、共感するところは多かった。精神科臨床では、関わっている人の間で「症例検討会」が、いろんな場面で行われるのだが、そこになぜ本人が参加しないのかがずっと疑問であったが、間違った疑問ではないということが確信できた。思春期病棟に関しては、20年以上前に携わっていたが、当時は病床が埋まらなかったなあ。2021/06/13

けろっぷ

2
精神疾患の当事者であり、家族であり、医師でもある夏苅先生。前作も良かったですが、今回は医師の立場から精神科医療がより患者さんやご家族に寄り添うためには何が必要か、みんなが生きやすい社会を作るために何ができるか、具体的に書かれていて参考になりました。こんなお医者さんが増えてほしい!親の病気について、子どもにちゃんと説明することは、精神科に限らず大切なことだと感じました。精神科に興味のある人にも、ない人にも読んでほしいです。2021/10/25

Go Extreme

2
精神科医療の七つの不思議 病気の原因を未だに見つけていない 医師によって違っていた診断基準 DSMは過渡期 病気の原因:遺伝と環境と運 何十年も薬・ゴールが見えない 薬は偶然な出会いから生まれた 精神科の薬物療法・経験則 人間のこころとお金 研究の沙汰も金次第 統合失調症はありふれた病気 精神疾患への偏見 なぜ病気の人が放っておかれるのか 医者も困っているのです 家族による自衛対策 思春期医療の役割 家族会の現状 精神科医療の未来に向けて 病気を治せない精神科医療ができること 精神科医療の未来に向けて2021/07/08

げんさん

0
「傍で寄り添い、静かに話を聞いて、落ち着くまで待つ」などと悠長なことは、交代してくれる人がいるから言えることです。3日間、ほとんど眠らせてもらえなかったとしたら、それでも対話をし続けることができる支援者はどれだけいるでしょうか?2022/01/09

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