内容説明
さっぽろ雪まつり開幕前日に起こった、自動車窃盗事件、少女の家出、そして発砲事件。無関係に見える事件が、一年で一番賑わう札幌でひとつに収束していく。虐待、不正、外国人労働者――刑事たちの執念は届くか?圧巻のタイムリミット・サスペンス。大ベストセラー道警シリーズ、待望の最新刊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
273
2021年の第一作は、この季節に相応しい雪の北海道警察シリーズの最新作をチョイスしました。佐々木 譲は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、ベトナム人技能実習生搾取社会派ミステリ、安定の面白さですが、材料が多かったので、もう少し頁数が必要だったのではないでしょうか? http://www.kadokawaharuki.co.jp/special/sasaki/2021/01/01
いつでも母さん
204
あぁ~やっぱり佐々木譲はこういうのが好い!久しぶりの道警シリーズ最新刊。時はさっぽろ雪まつり開幕前日、自動車窃盗事件に発砲事件…現場は大変だ。佐伯が追い、津久井が捜査する別々の事件のはずが一つに繋がりやがて収束させる本作。釧路から家出した少女を捜す小島百合も加わって、ベトナム人技能実習生や外国人労働者の劣悪な実態とその闇が浮かび上がるのだ。ここでも利権が絡んでこの国は何処へ向かうのだろと思いつつ面白く読んだ。百合との今後が気になるので早く続きが読みたいなぁ。2021/01/06
おしゃべりメガネ
144
道警シリーズも気がつけば9作目となり、やはり安定の面白さでした。佐々木譲さんの作風は読みやすく、多少のボリュームでもさらさらと読み進めていくコトができ、イッキに読了でした。舞台は雪まつりであらゆる事案がイッキに収束する展開は見事です。お馴染みのメンバーもそれぞれ健在で、今作は「佐伯」&「新宮」よりも見方によっては「津久井」&「長正寺」のほうがクローズアップされていた気がします。これまで様々な事件に携わり、解決してきましたが、今作で一旦ひと段落なのかなという気もしなくはないですね。また続編を期待しています。2021/02/13
タイ子
118
北海道警シリーズ。久しぶりに読んだがいいですね。札幌雪祭りの前日に起こる事件、事故。発砲事件、自動車窃盗事件、少女家出事件、一見何の関係もなく見えた事件がどんどん一つに収束していく。まるで見当のつかない札幌の道路をグーグルマップのように描くストーリーは臨場感たっぷりでこれも道警シリーズの醍醐味。何と言っても刑事たちの動向がいい。へんに激高しながら事件を追う刑事ものが多い中、今回も激情を抑えながら事件の真相に向かってそれぞれの任務に遂行する登場人物たちが好き。大人の雰囲気を漂わせながら締めるラストに痺れる。2021/01/13
のぶ
108
道警シリーズの新刊だが、北海道の空気が伝わってきて、臨場感のある作品だった。今回は舞台の背景に雪まつりがあって、より札幌らしさが伝わって来た。話は最初、少女の家出、自動車窃盗事件、住宅街で起きた発砲事件等、一見関係のない出来事の描写から始まる。佐伯や新宮らのレギュラーメンバーが捜査するに従い、バラバラだった事件が徐々に繋がり、虐待、不正、外国人労働者の劣悪な実態らの問題が浮き上がってくる。事件に派手さはないが、警察内の雰囲気は、佐々木さんの筆が冴えて安心して読む事ができた。目の離せないシリーズだ。2021/01/22