内容説明
顔よし、体よし、性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン、熊本くん。仲のよい大学生・みのりは、同級生から彼の噂を聞く。どうやら熊本くんが、ゲイ向けアダルトビデオに出ているというのだ――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐっち
24
期待と全く違うお話で戸惑った。いつもみのりにご飯を作ってくれる本好きの友人・熊本くん。いろんな本を薦めてくれるのかと思ったら…。家庭環境、思春期、宗教、ゲイカルチャー、重たい話がてんこ盛りの中の熊本くんの小説という名の自分のことを書いた文章。そして、どうなったのかわからないようなわかるようなラスト。力作であるのは間違いないが、読む人を選ぶ本だと思う。2021/07/25
よっち
17
顔よし体よし性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン熊本くん。彼と何となくつるんでいる大学生のみのりが同級生から彼の意外な噂を聞く不器用な人々の物語。何となく居心地が良かった熊本くんの意外な秘密。明らかになってゆく絡み合う因縁と意外な繋がり、そして生々しく描写される突き付けられた呪いと閉塞感が強烈で、底なし沼に引きずり込まれるような感覚を覚えましたが、知りたいと思ったがゆえに失ってしまった居場所をいつまでも忘れられないみのりが、紆余曲折の末に巡り会った一冊の本がとても印象に残る結末でしたね。2021/06/15
すずき
8
小説をしばらく読んでないので手軽にぱぱっと読めそうでなおかつ好みそうなモチーフが出てくると明示されていたのが店頭で目につきその日に読んでしまったが、これは予想外の掘り出し物 軽薄そう(と言わざるを得ない)なサブタイトルとライトそうなレーベルの皮を被った魔物。その魔物成分も含めて私には大変好みな素材だったこともあり個人的には大変良かった。なお文体は軽めなのでご安心?を2021/07/12
北風
6
なんかもっとライトなものだと勝手に思っていて、かなりダークな沼だったのでドン引きした。え、宗教? そして霊能力を持つ女たちのしのぎあい。胡散臭い村上春樹だわ(?)。そんなことやめなさいよ。女教祖?がいうには、やらずにはおけないってことなんだろう。人間関係ぐるっと回って……。熊本くんってみのりのことは結局どう思っていたのか、がずっぽり抜けている気がする。本棚はたしかに出てきたけど、なんだろカレーライスって。最後の晩餐? 本棚の最後の一冊よりも、熊本くんとみのりの気持ちがなんだったのか知りたい。2022/09/10
文庫本依存Hiro
6
表題の通りセクシャリティの狭間を漂う青春小説。 すべてが探り探りかつ思わせぶりで、そこにオカルトまで乗っかってくるので、着地点を見失いそうになるも、あまりの愚直さ、赤裸々さになぜか惹き込まれる一冊。2021/07/20